No. 199 画像解析により深海のマイクロプラスチックを探索する技術

マイクロプラスチック分析システム

本知財は、海底で劣化して小さな破片になったプラスチックごみ(マイクロプラスチック)を自動分析するシステム。種類ごとに異なる光の波長を吸収するプラスチックの特徴を活かし、光を波長ごとに分光して撮影するハイパースペクトルカメラでマイクロプラスチックをスキャンし、識別する。これまでマイクロプラスチックの分析は、顕微鏡を用いた手動によるものだったが、本知財は手動の約100倍の速さでプラスチックを自動分析できる。将来的には、本知財と民間船の活用を通じた海洋プラスチック観測データの整備・拡充と観測ネットワークの構築が、海洋汚染の可視化や、SDGs達成に向けた政策提言へ繋がると期待される。

深海に沈む大量のプラスチックゴミ

蛍光染色によるマイクロプラスチックの識別

http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20200331/

プラスチックの種類ごとに異なる反射スペクトル

11種類の身近なプラスチックの近赤外波長範囲(900−1700 nm)での反射スペクトルを示している。
PE、PP、PSなどの材質ごとに、反射率が低下する(光が吸収される)固有の波長帯がみられる(例:矢印で示された特徴的な波長帯)。

なぜできるのか?

HSI技術によるプラスチックの識別

プラスチックには、種類ごとに異なる光の波長を吸収するという特徴がある。ハイパースペクトル画像診断(Hyperspectral Imaging, HSI)技術でプラスチックの波長の吸収パターンをデータベース化し、機械学習によって分析することで、プラスチックの種類を自動的に識別できる。データを蓄積すれば、海洋ごとにどのプラスチックがどの程度あるのかを短時間で算出できるようになる。

プラスチックだけが発光する特殊な塗料

採取したサンプルを蛍光染色することで、これまで把握が困難だった300マイクロメートル以下の微細なプラスチックを識別できる。HSI技術と組み合わせることで、種類ごとのプラスティックの分布を飛躍的に速く分析できるようになる。

相性のいい分野

環境
採取したプラスチックの劣化度合いから製造年代を分析して、海流の変化の歴史を紐解く
エンタメ
蛍光染色したプラスチックで発光するナイトプール
アート
海底に蓄積したプラスチックを可視化したゴミの世界地図

知財情報

主な知財ホルダー:海洋研究開発機構(JAMSTEC / ジャムステック)

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。


知財ライティング: 都淳朗