No. 241 動物の表情が分析できるコーディングシステム

AnimalFACS

「AnimalFACS」は、動物(ヒト以外の霊長類)の顔の動きを体系的に分類する表情記述法。従来、心理学・精神医学研究において、感情と表情筋動作の関係や犯罪者・精神疾患患者の表情特性を定量的に評価するために、ヒト専用の「FACS (Facial Action Coding System)」が用いられてきた。一方、AnimalFACSはイヌやネコといった動物に特化したFACSであり、それぞれの動物固有の生理学・解剖学に基づき、表情筋の自発的収縮を識別する。将来的には、同じ動物種内での表情の違いと行動の違いの関係を分析したり、感情に紐づいたヒトの表情コードと動物の表情コードとを比較することで動物の感情を理解したりするのに貢献すると期待されている。

FACSによるヒトの表情記述例。表情筋のあらゆる動きに記号や数字が割り振られている。
「AnimalFACS」は、FACSを非ヒト動物(チンパンジー・アカゲザル・ジボン・シアマン・オランウータン・イヌ・ウマ・ネコ)に適用できるよう改良したもの。

なぜできるのか?

2種類の指標で表情を定量的に記述する

AnimalFACS(あるいはFACS)では、動画内の顔の特徴を抽出し、表情の時間変化を記録する。各時間帯における表情を記述するために、アクション単位 (Action Units; AUs)とアクション記述子 (Action Descriptors; ADs)という2種類の基本的指標について、番号を振る(3種類以上の指標が使われることもある)。AUsは顔の動き(顔面の表情筋収縮による表情の外観変化)を、ADsは頭部や視線の方向などの広範囲な動きを定義する。たとえば、ある驚きの表情はAU:1+2+5+26とコード化される。

指標を組み合わせて表情を作る

上記の流れとは逆にAUを組み合わせることで、コンピュータ上で顔を動かしたり意図した表情を表出させたりすることもできる。映像・アニメーション・CGなどの分野では、キャラクターにリアルな表情をさせるためにFACS理論が利用されている。

相性のいい分野

コミュニケーション
生物種を跨いで表情を分析することで、どのような感情が人間特有のものであるかを考察
コミュニケーション
自分がしたことのない微笑みの発見(FACSによると微笑みは客観的には18種に分類される)
ペット
スマホカメラで表情を撮影することで、飼っているペットの気持ちがわかる感情翻訳アプリ
ビジネス
ビジネスシーンで好印象を与えるための、自分の表情を客観的に分析・改善するトレーニング

知財情報

主な知財ホルダー:ポーツマス大学心理学部

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。