No. 261 がん見落としを減らす、胃カメラ検査の優秀アシスタント

胃内視鏡AI

「胃内視鏡AI」は、上部消化管(特に胃)内視鏡検査において、画像解析による診断支援を行うAI。医師が内視鏡検査を行なう最中にリアルタイムで映像を解析し、胃がん・前がん病変の発生確率を予測する。内視鏡検査は日本が世界をリードする先進的な医療技術でありながら、実臨床の現場では専門医の観察眼や腕に頼ることが多く、多大な時間的・人材的コスト、がん見逃がしなどが問題視されてきた。そこでAIメディカルサービス社は、独自に張り巡らせた強力な産学連携・専門医ネットワークを活用し、質の高い大量の上部消化管内視鏡画像データベースを構築。これをもとに高精度の胃がん病変検出AIを生み出した。将来的には胃がんの見逃し減少、内視鏡専門医の診断能向上や負担軽減に大きく貢献すると期待される。

なぜできるのか?

胃がんに的を絞ったデータベース構築

内視鏡検査のAI開発はレッドオーシャンであり、競合企業には、ai4gi、オリンパス、Shanghai Wision AIなどがある。そんな中、AIメディカルサービス社は胃がんに的を絞ってデータベースを構築することで他社との差別化を図った。データベース構築においては、CEOを務める多田氏が持つ人脈ネットワーク(がん研有明病院、大阪国際がんセンター、東京大学病院など国内がん拠点を含む100以上の施設との連携)が活かされた。

専門医の平均を上回る判別精度

同社はディープラーニング(深層学習)を活用した研究を積み重ね、内視鏡専門医20名の平均を上回る判別精度に到達。さらに、高性能のハードウェアと畳み込みニューラルネットワーク(*1)によって、がん病変のリアルタイム判定を実現した。これらの業績は世界初の胃がんAI拾い上げ論文として、「Gastric Cancer」誌に掲載された。

(*1) 畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network; CNN): 深層学習で用いられる、脳神経細胞の繋がりを模した数理モデル「ニューラルネットワーク」の中でも、画像認識・分類に広く使われるニューラルネットワーク。画像をフィルタという特徴抽出器に通すことで、画像のどこに特徴(顔ならば目・鼻・口など)が存在するかの度合いを知ることができる。

相性のいい分野

医療
Federated Learning(フェデレーテッドラーニング)によって内視鏡画像データのグローバル・アライアンス(世界中のステークホルダーの連携)を確立、さらなる高精度AIへ進化
医療
転移学習(既に構築したAIの性能だけを抜き取って、他の用途に転用する技術)によって新たな大腸がんAIを開発

知財情報

主な知財ホルダー: 株式会社 AIメディカルサービス

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。