No. 311 古典籍の江戸料理を現代に復刻

江戸料理レシピデータセット

江戸料理レシピデータセットとは、江戸の食文化を誰もが現代で触れられるよう、日本古典籍データセットに含まれる江戸の料理本を現代語訳しレシピ化したもの。日本古典籍データセットとはデジタル画像としてスキャンされた古典籍にインターネット上でアクセスできるサービスだが、それだけでは一般市民への歴史的古典籍のオープンデータ活用を促進することは難しかった。そこで、人々が古典籍を日常生活に取り入れられるように、言葉や調理方法を現代版に置き換えた江戸料理レシピデータセットが構築された。古典籍が一般市民に活用されることで日本の学術コミュニティのオープンサイエンスを推進し、ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食」の文化のルーツを理解する一助になることが期待されている。

実現プロジェクト

クックパッド江戸ご飯

クックパッド江戸ご飯とは、江戸時代の食事を現代のレシピ形式に編集された「江戸料理レシピデータセット」をWEBのクックパッド上に公開したもの。江戸時代後期に刊行された料理本『万宝料理秘密箱』の卵料理の現代語訳データをもとに、「容器ごと水で冷やす」を「冷蔵庫で2時間程度冷やす」に、「葛粉」を「片栗粉」にするなど、現代の道具や食材でも手軽に作れるように言葉が変換されている。レシピサイトとして馴染みのあるクックパッド上にデータを公開することで、江戸料理がより身近で普段使いできるものとなっている。


なぜできるのか?

くずし字の現代語訳

国立情報学研究所と国文学研究資料館の協働によって、江戸時代後期に刊行された料理本『万宝料理秘密箱(まんぼうりょうりひみつばこ)』中の「卵百珍」に記載された卵料理全107点を対象に、日本古典籍データセットで公開されている画像のくずし字を現代の文字を用いたテキストに翻刻。そのデータの内容を、現代の日本語に翻訳している。

現代の道具や食材にレシピを変換

食材の名称が現代とは異なったり、現代では入手が困難な道具が登場したりするため、江戸時代の料理文化専門家によって、現代のキッチンで手軽に調理できるレシピに再編集。時代の言葉や文化の違いを解消し、食材の分量や写真を加えてより具体化している。

相性のいい分野

旅行・観光
時代を超えた地域の食文化を味わう江戸フードショップ
生活・文化
現代の食事を江戸時代の食材や調理法で逆再現する「ファストフードin江戸」
アート・エンターテインメント
VRシステムによる江戸の風景と食事を組み合わせた新しい食のエンターテインメント体験
教育・人材
江戸時代の暮らしを味覚で体験する歴史教育

知財情報

主な知財ホルダー:人文学オープンデータ共同利用センター/国文学研究資料館

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。


知財ライティング: 大谷夏鈴