No. 312 判断理由を説明できるAI技術

Wide Learning(ワイドラーニング)

Wide Learning(ワイドラーニング)とは、どのように判断しその結果を導いたのかその理由を説明することができるAI技術。従来のディープラーニングをベースとしたAI技術は、膨大なデータを学習して自律的に回答を導き出しているため最終結果の判断理由を説明できないという透明性の問題があった。一方、Wide Learningは人間の思考プロセスを再現した技術を用いているため、判断理由を人間にも理解・納得できる形で提示することができる。将来的には、マーケティングや医療といった信頼性が重要であるビジネス分野において、信用できるAI技術としての活躍が期待されている。

なぜできるのか?

科学的発見の思考プロセスを再現した技術

Wide Learningは、入力データが持つデータ項目全てについて組み合わせを行い考えうるすべての仮説を網羅的に調べる。そして、それらの仮説の正しさを統計的に確かめることにより重要な仮説を発見していく。これらの一連の過程は、科学的発見における思考プロセスを再現したものであるため、途中の計算過程や最終判断の根拠を人間でも簡単に理解することができる。

高速な組み合わせ計算を実現する技術

Wide Learningに用いられている富士通が開発した組み合わせ計算技術は、1000兆をはるかに超えた組み合わせでも数秒で調べることができる。これにより、以前は難しいとされていたデータ項目のすべての組み合わせの検証、考えうるすべての仮説の提示が可能になった。

少量のデータから高精度な判断

データ項目全ての組み合わせを計算対象として扱うため、少なくとも数千件から数万件以上のデータを必要とするディープラーニングに対しわずか数十件~数百件からでも高精度な判断が可能になる。たとえば、工場の製造ラインで不良品の発生原因を分析したい時、不良品はめったに発生しないためデータ数が少ないという問題がある。しかし、Wide Learningを用いることで数十件ほどのデータからでも不良品にのみ当てはまるような重要な仮説を発見し、発生原因を突き止めることができる。

新たな仮説の発見

人間には不可能な数の仮説を検証し重要な仮説を抽出するというプロセスを踏んでいるため、これまで専門家でも考えつかなかった判断や仮説の発見ができる。さらに、発見した仮説を用いて予測や分類などの知的な判断を自動的に行うこともできる。

アクションプランの提示

すべての仮説を網羅的に検証した過程で得た情報を用いることで、予測や分類だけにとどまらず実際のアクションプラン(打ち手)の提示を行うことができる。たとえば、デジタルマーケティングにおいては「購入率の低い仮説」と「購入率の高い仮説」の差分を計算しその差分がもっとも顕著なもの(=購入率の上昇幅が一番大きなものがアクションプランとして提示される。

相性のいい分野

製造業・メーカー
購買者のデータから新たなニーズを発見し商品開発
医療・福祉
あらゆるデータから感染症拡大の原因調査
流通・モビリティ
交通データや気象データなどを基に交通事故の原因究明
教育・人材
一人一人に最適な教育プランの提案
ロボティクス
企画から実際の提案まで一人で行う「サラリーマンロボット」

知財情報

主な知財ホルダー:富士通株式会社

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。


知財ライティング: 佐藤拓海