QRコードと映像を融合させる画期的な制作手法

映像クリエイターの朝月みおは、QRコードの基本構造を保ちながら、データ部分のドットサイズを極限まで縮小する制作手法に着目。ファインダパターンとアライメントパターンは標準仕様を維持し、その他の情報ドットを微細化することで、QRコードに映像を重ね合わせても違和感のない、自然な合成を可能にした。さらに、QRコードの読み取りシステムが明度によって白黒判定を行う特性に着目し、黒いドットを青色のドットに変更するなどして、QRコードが映像に自然に溶け込む視覚効果を生み出した。

誤り訂正機能によるデザイン性と機能性の両立

QRコードの「誤り訂正機能」を最大限に活用し、映像表現との両立を図っている。「誤り訂正機能」とは、QRコードが最大30%までの破損に対応できる特性であり、意図的にドットの一部を映像デザインに合わせて変更することができる。例えば、「夢中まわり続ける」や「叶わない望みだから」の歌詞部分では、文字を目立たせるために白いドットを削除するなどして、視覚的な美しさと読み取り精度のバランスを精密に調整した。この誤り訂正技術があるからこそ、モニターが反射した場合といった視聴環境の違いにも対応でき、安定したインタラクション体験を保証している。

楽曲連動型インタラクション設計

楽曲の構成に合わせてQRコードの内容を動的に切り替える仕組みを構築。サビ部分ではタイピングアニメーションのように文字が一文字ずつ表示され、ラスサビ前では、横にスクロールされるかのように文字が順次現れるような演出を展開している。読み取ったQRコードからアクセスできるノベルゲームサイトは、楽曲の世界観と連動したオリジナルストーリーで構成。ボーカルのAohadaがシナリオ・キャラクターデザイン・グラフィックをすべて手がけ、音楽とゲームが一体となった総合的なエンターテインメント作品となっている。