静止しているのに、液体のように揺らいで見える金属表現
FLUX METAL

概要
「FLUX METAL」とは、金属でありながら流動して見えるという現象そのものを素材表現として成立させた、これまでにない金属表現だ。特殊金属素材の断面を鏡面研磨することで生まれ、光や視点の変化によって、固体でありながらとろりとした液体のような揺らぎを見せる。機械加工だけでは均一な仕上がりを得ることができず、最終工程は熟練職人によるミクロン単位の手仕事に委ねられる。デジタルファブリケーションとクラフトマンシップの融合によってはじめて成立する技術だ。
2026年4月のミラノデザインウィークでは、FLUX METALを天板に用いたプロトタイプ《FLUX TABLE》を、デザインブランド130(ONE THIRTY)との協働により発表。ブレラ地区のPalermo 18を会場に、海外デザインメディアでも紹介された。《FLUX TABLE》はその後、OSAKA DESIGN WEEK 2026、DESIGNART TOKYO 2026での展示も予定されている。


なにがすごいのか?
静止した金属がとろりと液体のように揺れて見える、未視感の素材表現を実現できる
機械加工だけでは実現が難しい仕上がりを、ミクロン単位の職人技と組み合わせて再現できる
「揺らぎを受け入れながら本質へ戻る」という復元力(Resilience)の思想を構造そのもので体現できる
なぜ生まれたのか?
発端は、CMFデザインスタジオFEEL GOOD CREATION(FGC)がある特殊金属素材の断面に着目したことだった。機能的な利点はほぼなく、これまでほとんど活用されてこなかったこの素材の断面を鏡面研磨すると、とろりとした液体のような表情を見せることを発見した。
しかし可能性を感じながらも、課題は研磨工程にあった。断面が研磨の過程でわずかに動いてしまうため、機械加工だけでは均一な仕上がりを得ることができない。「現象そのものを素材表現として成立させる」というFGCのコンセプトを実現するには、精密加工技術と長年のクラフトマンシップを持つパートナーが不可欠だった。
そこでDAIKAN(1964年創業、大阪拠点のサインメーカー)が持つ職人技術と、デザインブランド130(ONE THIRTY)が持つ独自の連続フレーム構造技術が組み合わさることで、《FLUX TABLE》というプロトタイプへと結実した。変化を許容しながら本質へと戻れる「復元力(Resilience)」という美の思想を目指している。
なぜできるのか?
DAIKANの精密加工とミクロン単位の手仕事
DAIKANは1964年創業、大阪を拠点とするサインメーカーで、ラグジュアリーブランドや商業施設の空間づくりを支えてきた職人集団だ。FLUX METALの製造において重要な役割を担うのが、最終工程での熟練職人によるミクロン単位の手仕事だ。機械加工で下地を整えた後、断面の動きを職人が手で微調整することで、液体のような揺らぎを感じさせる鏡面表現が完成する。デジタルとアナログの境界を職人技が橋渡しする仕組みだ。
130(ONE THIRTY)の連続フレーム造形技術
天板を支える脚部には、MagnaRecta Inc.が展開するデザインブランド130(ONE THIRTY)独自の技術が使われている。1本のフレームを連続的に立体構築していく3D造形技術により、圧倒的な軽量さと堅牢さを両立しながら、工業製品でありながら手工芸的な表情を持つ構造体を実現する。「揺らぐ天板」と「ゆるがない土台」という相反する要素を共存させるために、この構造が必要不可欠だった。部分的な修復から完全な解体・再生成まで可能な「造形と解体の循環」も設計思想に組み込まれている。
素材価値を伝えるデザイン設計
本プロジェクトでは、技術的特徴を単に説明するのではなく、素材が持つ感覚的な魅力をどのように伝えるかという体験設計も重要な要素となった。
ビジュアル表現や映像、ストーリー設計を通じて、金属を「加工された物質」ではなく、「変化を感じられる素材」として提示している。
相性のいい産業分野
- アート・エンターテインメント
光や角度によって表情を変える、「静止しているのに動いて見える」アートオブジェクトとして展開
- 住宅・不動産・建築
ラグジュアリーホテルや高級マンションのロビー什器・カウンターに導入し、空間に独自の存在感を付与
- 製造業・メーカー
高付加価値な工業製品の筐体・外装表面処理として、デジタル加工×職人仕上げの新たなものづくりモデルを提示
- 旅行・観光
旗艦店・ブランドショップの什器として、触れると乱れ、また整う「体感素材」を店頭体験に付与
- 資源・マテリアル
これまで機能的価値のなかった特殊金属の断面を「FLUX METAL仕上げ」として規格化し、余剰素材を高付加価値マテリアルとして流通
この知財の情報・出典
株式会社 ダイカン デザインブランド 130(ONE THIRTY) 株式会社FEEL GOOD CREATION(FGC) この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。 詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。





