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2023.06.23

知財ニュース

藍染の廃水を使用したスキンケア製品を開発、菌の増殖や肌荒れを防ぐ効果

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ドイツ・ミュンヘンを拠点とする日系繊維スタートアップ、AIZOMEは現地時間2023年4月17日、クリエイティブエージェンシーServiceplan Innovationと共同で、繊維製造工程で出る廃水を利用したプレミアムスキンケア製品「WASTECARE」を発表した。

藍染には菌の増殖を抑え、肌荒れを防ぐ効果が明らかになっており、今回、AIZOMEの廃水にも藍の成分が含まれ、乾燥肌を整え優しく保湿する効果がある見解が示され、藍染の廃水をそのまま使った美容液の商品化に至った。

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「WASTECARE」は、藍染を用いた染色過程で出る廃水をそのまま利用した夜用美容液。抗菌、抗炎症、抗酸化作用などの藍の成分に含まれる薬用効果が藍染の廃水にも含まれ、藍染製品と同様に菌の増殖や肌荒れを防ぐ効果が期待できる。通常の美容液と同様、入浴後や就寝前など、洗顔後に化粧水を付けた状態で、顔全体に数滴、ゆっくり皮膚になじませるように使用する。

世界第2位の汚染産業といわれているファッション産業。中でもテキスタイル産業は、毎年染色に5兆リットルの水を使用し、約50万トンものマイクロファイバー(石油300万バレル相当)を海洋に投棄している。また、製品の染色や仕上げには、ホルムアルデヒドや鉛など8000種類以上、年間1万トンの合成化合物質が使用され、深刻な水質汚染の原因となっている。そこで同社は、毒性がない藍染の廃水に着目し、「WASTECARE」の開発に踏み切ったという。

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藍染で染めた肌に優しいシーツやベッドカバーなどを製造・販売している同社。創業者のマイケル・メイ氏は、病気で入院していた母の肌が化学物質を使用したベッドシーツで荒れた経験から、肌に優しいオーガニックな布製品を作りたいと決意した。その後、来日した際に藍染に出逢い、2019年に妻の武藤美沙氏と同社を設立。染色時に超音波を用いることで色落ちや薬効の低下を防ぐ独自の藍染技術「AIZOME ULTRA」を考案し、高品質な藍染製品の大量生産を実現している。

なお、同社では、「WASTECARE」の商品化(2023年中を予定)に先駆け、ファーストロットをプレミアムキット(非売品)として発表。NYのデザインスタジオ「WorkByWorks」がデザインを担当した本キットは、AIZOME社のブランドストーリーを綴ったブックレットと製品サンプルが順に梱包され、最後に美容液に辿り着く体験設計となっている。

2023年のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルではデザイン部門GOLDを受賞している。

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同社では今後、ファッションやテキスタイル、ヘルスケアのオピニオンリーダーへのコラボレーションの呼びかけのほか、各種展示会やカンフi ァレンス、ポップアップストアなどにも順次展開していく。藍染の素晴らしさと繊維業界全体の課題解決に向けた行動を呼びかけていくとしている。

プレスリリースはこちら

「WASTECARE」商品サイト

AIZOME 公式サイト

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Top Image : © AIZOME

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