No.812
2023.10.20
世界最高レベルの映像・音響技術で異空間を提供する球体型アリーナ
Sphere
概要
「Sphere(スフィア)」とは、建物内外を覆うLEDと、360度全方位に音を届けるオーディオ環境を備えた、巨大な球体型アリーナ。外壁は、世界最大規模のLEDで覆い建物全体で映像を表現。内部には超高解像度LEDを設置し、音やパフォーマンスに合わせて映像を変化させ、深い没入感を提供する。最先端技術を用いたこれまでにないエンターテインメント空間を提供する施設として、米ラスベガスに建てられ、2023年9月に開業した。デバイスなどを用いずに没入できるアリーナは、音楽ライブや舞台、映画、アートのほか、スポーツ観戦、eスポーツ大会、バーチャル宇宙旅行など、様々な領域での活用が期待される。
なにがすごいのか?
高解像度・世界最大のLEDで内外を覆い、建物全体で映像を表現
360度どこにいても高品質な音を届けるオーディオ技術
映像と音、パフォーマンスが連動した深い没入空間の提供
実現事例 実現プロジェクト
U2:UV Achtung Baby Live at Sphere
「U2:UV Achtung Baby Live at Sphere」は、Sphere で2023年9月29日(現地時間)に行われたアイルランドのロックバンド「U2」のコンサートライブ。Sphereのこけら落とし公演としてスタートを切った。
2019年以来4年ぶりとなるライブは、約18,000人を集客。新曲「Achtung Baby」を始めとしたライブパフォーマンスと、Sphereの最新設備・テクノロジーを連動させて公演を行った。360度全ての方向から包み込む音響、側面や天井を覆う高解像度LEDによる演奏に即した映像で、没入感の高いライブを提供。本ライブは数カ月をかけて行い、全25公演を予定している。
なぜできるのか?
映像の表現力を高める世界水準のLED
外壁には、世界最大の58万平方フィート(約5.4万㎡)のLEDパネルを使用。外壁全体をほぼ覆う規模のLEDで映像を表示し、屋外ディスプレイ「Exosphere」として、外にもエンタメを提供する。Exosphereには、8インチ間隔で約120万個のLEDパックを配置し、2億5,600万の色表現を可能にしている。 建物内部には、16万平方フィート(約1.5万㎡)の規模で、世界最高クラスとなる16Kの解像度を持つLEDディスプレイを導入。天井や側面など、ほぼ内側全体に設置し、没入感のある視覚環境を創り出している。
アリーナ全体を没入させる音響設備
LEDの背後に、独オーディオメーカー・HOLOPLOTのスピーカーを16.7万個設置。同社が特許を取得している音波制御の「3Dオーディオ・ビーム・フォーミング技術」を用い、音波の伝播を制御して、座席とスピーカーが離れていても高品質な音声を届ける。さらに、同社独自の音響技術である「波面合成」を活用。スピーカーを制御して、仮想音源を設定し、音源からの波面を人工的に生成して、各席に応じた音を提供する。リアルの音源が遠くても、ささやき声まで聞こえるような臨場感と、没入感のあるオーディオ環境を実現している。
五感体験を提供する4Dテクノロジー
座席には、人の耳では聞こえにくい超低周波音を振動として体感できる、インフラサウンド・ハプティックシート(超低周波触覚席)を導入。サウンドシステムと連携し、超低周波の音声信号を用いて音に合わせてシートを振動させ、深みのある音の体感を実現する。また、風や霧、香り、温度の変化などの大気を感じられるようなテクノロジーも実装。視覚や聴覚だけでなく、触覚や嗅覚なども含めた、五感による体験を可能にしている。
非日常的な世界観を形作る球体型建物の建築
外骨格には三角形の集合体で建築物をつくる、三角トラスの構造を採用。数百のトラスを用いて均衡を保ち、支柱を使わずに球体型を実現している。内部は、天井高388フィート(約118m)、LEDスクリーンの高さは240フィート(約73m)と、広大な空間を構築。多層・扇形による座席配置で17,385席を設置している。
相性のいい産業分野
- アート・エンターテインメント
深い没入感を提供するライブ・映画・舞台・アート展の開催
- スポーツ
試合の臨場感を体感できるスポーツイベントの開催
- 航空・宇宙
宇宙ステーションや宇宙空間、月面などを体験できるイベントの開催
- IT・通信
球体ディスプレイに最適な映像配信技術の開発
- メディア・コミュニケーション
イベントやプロダクトなどをPRする外壁広告
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Sphere Entertainment