No.882

2024.08.07

低摩擦で高い耐熱性・耐摩耗性を持つ樹脂系摺動材

TRYEEVO(トライーボ)®

Tryeevo

概要

「TRYEEVO(トライーボ)®」とは、低摩擦で高い耐熱性・耐摩耗性を持つ樹脂系の摺動材(しょうどうざい)。機械などを摩擦させずスムーズに滑らせて動かすための素材で、その耐熱性・耐摩耗性は、樹脂系摺動部材カテゴリーでトップクラスの性能を持つ。独自技術で、低摩擦状態の維持や発熱・摩耗の抑制が可能。独自の成形技術と組み合わせることで、機械設備だけでなく、発電所や自動運転車両、ドローンなど、幅広い領域での活用が期待されている。

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なぜできるのか?

機能を掛け合わせた複合材の構築

約300℃で1,000時間の使用に耐えられる「耐熱樹脂ポリイミド」(UBE製)を活用。低摩擦性や耐摩擦性を持つフィラー(添加剤や充填剤など)を掛け合わせて、「TRYEEVO」を構築している。機械などの摺動開始時から、低摩擦状態を安定的に維持でき、発熱の抑制が可能。さらに高い耐熱性を有するため、一般的な樹脂系素材よりも面圧(単位面積当たりの荷重)の範囲を広く設計できる。

摩耗を防ぐ潤滑層の形成

「TRYEEVO」と板・金属などの相手材の間に、潤滑層を形成して、動きを滑らかにしている。摺動の初期段階に発生する「TRYEEVO」の摩耗粉が、転動する相手材の表面に付着し、「トライーボ潤滑層」を形成。層が潤滑剤の役割を果たして、高い耐摩耗性を実現している。

独自の素材加工技術

東洋製罐グループが1917年の創業以来培ってきた、プラスチック・金属などの加工技術がベースにある。独自製法で、樹脂加工時の反りや歪み・凹みなどを低減。変形を抑えて、金属材に匹敵する高い寸法精度(直径や厚みなどの寸法の正確さ)を可能にした。

相性のいい産業分野

ロボティクス

産業用・医療用ロボットの関節に使用することで、スムーズな動作と長寿命を確保

流通・モビリティ

超高速リニアモーターカーのレールシステムへの採用

環境・エネルギー

風力発電タービンに使用して発電効率の向上とメンテナンス頻度の低減を実現

航空・宇宙

摩擦を最小限に抑える宇宙エレベーターの摺動材として使用

製造業・メーカー

工場のレールやベアリングに使用して、メンテナンス頻度を削減しスマートファクトリーを実現

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 東洋製罐グループホールディングス 株式会社