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2025.09.29
知財ニュース
捨てられる胡蝶蘭がブランデーに、LOSS IS MOREが花の香りを閉じ込めた循環型蒸留酒に再生、蒸留プロジェクト始動

「まだ使える廃棄・非活用素材」と「優れたモノ作りをする事業者」を結びつけ、新たな価値を創造するアップサイクルコレクティブ・株式会社LOSS IS MOREは、銀座のクラブなどに贈られた胡蝶蘭を回収し、クラフトブランデーとして再生するプロジェクトを始動した。
「銀座のクラブに贈られた胡蝶蘭を、ブランデーへ。」プロジェクトは、贈られた胡蝶蘭を回収・蒸留し、再び人と人をつなぐ飲み物として蘇らせようとする試みだ。華やかな場面を彩った胡蝶蘭は役目を終えると多くが廃棄されてきたが、この「フラワーロス」に新しい活路を見出し、酒類へ転換することで持続可能な文化を構築する。
具体的には、お祝いとして贈られ、役目を終えると廃棄されてしまう胡蝶蘭を回収し、一輪ずつ丁寧に選別した花弁を原酒に漬け込み、蒸留することで胡蝶蘭特有の豊かな香りを抽出。この過程で農薬などの有害成分は除去されるため、安心して楽しめる特別なブランデーが作られる。
プロジェクト名「銀座のクラブに贈られた胡蝶蘭を、ブランデーへ。」で回収した胡蝶蘭は、山梨県勝沼の老舗ワイナリー・白百合醸造で蒸留され、胡蝶蘭ブランデー「LOSS IS MORE Brandy」となる。完成したブランデーはアルコール度数38%、700ml瓶にて商品化され、贈答文化の象徴である花が再び「乾杯の席」に戻る仕組みが設計された。花を贈ることと酒を酌み交わすことを結びつけ、人と人を再びつなぐことを目的としている。
クラウドファンディング「CAMPFIRE」で公開された本企画は、開始からわずか24時間で目標額の250%である250万円を達成し、現在ネクストゴールとして500万円に挑戦中。
支援者向けリターンは多彩で、単品ボトルのほか、2本セットやブランデーとジンの飲み比べセットが用意されている。さらに、銀座のクラブ「Thea RUNDELL」への特別入店権や協業権付きプランもあり、単なる商品提供にとどまらず、体験や人脈形成を含めた価値設計がなされている。
支援金は製造、運営、広報などに充てられ、商品の出荷は2025年10月頃を予定。出荷後は都内飲食店やオンラインでの販売展開も検討されている。贈答文化の裏に潜む大量廃棄の課題を、文化的・経済的価値を持つ酒類に再変換する点で、循環型ビジネスの新しい形を提示している。
胡蝶蘭はこれまで、廃棄コストやスペースの問題で短期間で捨てられることが課題だったが、このブランデー化により新たな経済循環を生み出し、銀座の文化と経済を活性化させる狙いがあるという。既にカーネーションを活用したクラフトジンの実績もあり、今後は全国各地の胡蝶蘭回収にも乗り出し、地域に笑顔を届ける活動を拡大していく方針。
LOSS IS MOREはこれまでも廃棄物や不要資源に新しい意味を与える事業を展開してきたが、本プロジェクトは銀座という「贈答の場」から新しい「乾杯文化」を生み出す挑戦となる。クラウドファンディングは10月5日まで。10月中旬より胡蝶蘭ブランデーが醸造され、11月頃から順次返礼品が発送される予定。
Top Image : © 株式会社 LOSS IS MORE