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2022.03.22
知財ニュース
分身ロボ「OriHime」を在宅操作する14名のパイロットが共演―リモート演劇『OriHimeプロジェクト』が公開
身体障がいや病気などで外出が困難な人が、分身として社会参加を可能にする分身ロボット「OriHime」を活用し、舞台芸術に共演する『OriHimeプロジェクト』が、神奈川県の共生共創事業のもと公開された。
映像作品に出演するOriHimeの操作者「パイロット」たちの姿・作品完成までの様子を追うドキュメンタリーと、リーディング作品の二本立てで公開。3月4日より神奈川県の公式Youtubeチャンネル・かなチャンTVで配信開始した。
神奈川県が取り組む「共生共創事業」とは、年齢や障がいなどにかかわらず、子どもから大人まで全ての人が舞台芸術に参加し楽しめる、「ともに生きる ともに創る」を目標にした事業。神奈川県より公益財団法人神奈川芸術文化財団が委託を受け、製作・運営を行なっている。
OriHimeは、身体的問題や、単身赴任・入院などにより、外出困難な人のための“分身”ロボット。操作者の声を伝える、手を振る、両手を上げる、頭を抱えるなどのボディランゲージをOriHimeを介し表現できる。スマートフォンやタブレット、PCから遠隔・無線で操作でき、操作者はOriHimeを通して、人と会うことや、テレワークで働くことができる。
共生共創事業では昨年度、身体表現性障害を患い外出困難なさえさんがOriHimeを通じて出演する朗読劇作品『ちいさなちいさな王様』を制作・公開。外出困難者と俳優が同じ画面上に共演するという世界初の試みは、共同創作の新たな可能性を見出す大きな一歩となった。
今年度、ドキュメンタリーを監督したのは、前作『ちいさなちいさな王様』を演出・撮影した映像作家・大金康平。 リーディング作品『星の王子さま』は、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの同名小説を原作に、演劇家の藤原佳奈が脚色・演出を手がけ、俳優石川瑠華に加え、オーディションに参加した14名の「OriHimeパイロット」が遠隔でOriHimeを介して出演している。OriHimeパイロット達の詳しいプロフィールは公式ホームページで確認できる。
OriHimeを活用し、カフェでの接客や官公庁での受付業務など、自宅に居ながら社会参加が可能となり、導入事例が年々増え続けているとのこと。
気鋭の俳優や映像作家と、さまざまな事情で外出困難な14人のパイロットたちによる、距離と身体の壁を越えた表現の記録に注目したい。
Top Image : © 公益財団法人 神奈川芸術文化財団