No.207

2020.11.12

外出が困難でも働ける、分身テレワーク・ロボット

OriHime-D

Orihime-D_1

概要

OriHime-D(オリヒメディー)は、テレワークをしている人が遠隔で接客やものを運ぶなど、身体労働を伴う業務を可能にする全長約120cmの分身ロボットである。育児や介護、身体障害などで外出が困難な人はこれまで身体労働が難しかったが、このロボットと接続すれば、たとえ寝たきりでも業務にあたることができる。介護を受けている人たちに労働力として社会に参画する道を開き、距離や障害など人の物理的制約を乗り越える未来を作る知財である。

実現事例 実現プロジェクト

分身ロボ

分身ロボットカフェ DAWN

身体が不自由であったり、外出困難な人たちが遠隔操作型の分身ロボットでカフェの接客を行う、新たなテレワークの可能性を模索する社会実験。本カフェでは全国に住むロボット操縦者(パイロット)が分身ロボット「OriHime-D」で走行し、食事をサーブし、接客をする。ALS等の重度障害を持つ人らもパイロットとして参加しており、未来の働き方を示唆し注目を集める実験だ。検証・改善を繰り返しながら2018年より毎年実施されており、常設店の営業も予定されている。

なぜできるのか?

「OriHime」の技術を発展させた、身体労働に適した機能

OriHime-Dは、その前身だった「OriHime」(カメラとマイクとスピーカーを内蔵し、インターネットを使ってスマホやPCから遠隔操作ができる全長約20cmの分身ロボット)にはなかった移動機能・運動機能を搭載。上半身に14の関節用モータを内蔵し、前進後退、旋回の移動能力をもつ。500gのペットボトルを片手をまっすぐ伸ばした状態で保持する事も可能。

身体が不自由でも可能な遠隔操作

視線の移動によって意思伝達や情報入力ができる「OriHime eye」の技術を応用した遠隔操作技術を活用。これにより、たとえばALS患者のような身体を動かすのが困難な人でも、眼だけでOriHime-Dの遠隔操作が可能となる。

豊かなコミュニケーション機能

大型のスピーカーを内蔵し、周囲に人の多い空間でも操作者の声を伝え、会話することが可能。また自由なモーションを作成・記録してボタンにより再生できることで、操作者の個性や人柄を表現することもできる。

能面を意識したビジュアルデザイン

喜怒哀楽様々に見えてくる“能面”を参考にデザインされており、操作者の表情を想像できることで、徐々にOriHime-Dが本人のように感じられる設計がされている。

相性のいい産業分野

教育・人材

高齢で引退した技術者による、遠隔指導プログラム

医療・福祉

医師不足の地域の遠隔診療ロボット

生活・文化

言語や文化風習の異なる環境に身を置くことで、肌感覚として相違点などを体感

アート・エンターテインメント

コンサート会場など、大量のOriHime-Dが置かれている場所に世界中から乗り込むことでコロナ禍での一体感を得る

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 オリィ研究所