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2023.06.26

知財ニュース

政府が「知的財産推進計画2023」を策定─大学・企業の「共有特許」を新興企業に提供可能に、24年度にも

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政府の知的財産戦略本部は2023年6月に開催した会合で「知的財産推進計画2023」を決定した。

本制度は、企業が大学と共同研究した技術において一定期間事業を展開しなかった場合、大学側の単独判断で第三者が特許の使用許諾を得られるようにするもの。新薬や半導体、脱炭素などの最先端の研究をスタートアップ企業に提供することで、新興企業の成長を促すのが狙いとのこと。

通常、企業と大学の共同研究の成果は特許法が定める「共有特許」とするのが一般的で、企業と大学双方の合意がないと第三者に提供できないため、企業は技術の外部提供に消極的なケースが多く、使用されない技術が使われないまま眠っている場合があったという。

本制度の対象は政府が創設した10兆円の大学ファンドが助成する「国際卓越研究大学」(23年秋に最初の認定校を決定予定)から始め、知的財産推進計画に盛り込んでいくとのこと。なお、国際卓越研究大学は研究実績や民間からの研究資金の獲得を鑑み23年秋頃に最初の認定校を決定する予定。既に東京大学や早稲田大学などの10大学が公募に申請している(※)。

(※ 国際卓越研究大学に申請した10校:
早稲田大、東京科学大(仮称、統合する東京工業大と東京医科歯科大の共同申請)、名古屋大、京都大、東京大、東京理科大、筑波大、九州大、東北大、大阪大(申請順))

本制度は、2024年度からの開始を予定。内閣府の報告では、2020年度の保有特許の利用状況は企業では約半分、東大や京大は3割強とのこと。本制度が日本の技術革新につながることに期待したい。

「知的財産推進計画2023」概要はこちら

「知的財産推進計画2023」詳細はこちら

Top Image : © 知的財産戦略本部

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