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2024.09.25
知財ニュース
NASA、菌類を用いて火星住居を育てる技術「Mycotecture Off Planet」を開発中
NASAは、金属とガラスでできた住居の代わりに、菌類から構造物を成長させて住居にする技術を研究しており、地球上でもより持続可能な生活様式につながる可能性があるとしている。
NASAのエイムズ研究センターの研究チームは「Mycotecture Off Planet」というプロジェクトを進めており、地球から持ち込んだ菌を培養し、住居の建材などを「育てる」技術を開発している。NASAによると、水を加えると、菌類は環境汚染を避けるために安全に封じ込められながら、そのフレームワークの周囲で完全に機能する人の居住地へと成長する可能性があるとのこと。
このプロジェクトで使用される菌は、シアノバクテリアと呼ばれる菌だ。太陽のエネルギーを利用して水と二酸化炭素を酸素と菌類の栄養物に変換できるバクテリアの一種なのだという。
2週間の成長を経て菌糸から作られたスツール クレジット: 2018 スタンフォード・ブラウン・RISD iGEM チーム
この住居の部品は、3層で構成され、1番目の層は氷でできており、その水が、2番目の層であるシアノバクテリアに滴り落ちる。この層では、その水を取り入れ、氷の層を通して差し込む外光を使用して光合成を行い、宇宙飛行士のための酸素と菌糸の最後の層のための栄養素を生成する。菌糸の最後の層は、有機的に成長して丈夫な住処となる。
Credits: NASA
この部品は火星やそこにすでに存在する微生物を汚染しないように焼かれるとのこと。たとえ菌糸が何らかの理由で逃げ出したとしても、それらは遺伝子組み換えされて、居住地の外で生存できないようにされるとしている。
NASAは、将来の実証ミッションに備えて「Mycotecture Off Planet」プロジェクトの技術開発を継続するために2年間で200万ドルの助成金が提供されると発表している。
Top Image : © NASA