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2023.08.01
知財ニュース
1枚のシートを熱するだけで狙った形に自動で変形する技術─インクジェットプリンタでパターンを印刷
東京大学大学院工学系研究科の鳴海紘也特任講師、川原圭博教授、大学院総合文化研究科の舘知宏教授、大学院情報理工学系研究科の五十嵐健夫教授、宮城大学事業構想学群の佐藤宏樹准教授、Nature Architects株式会社の須藤海氏、エレファンテック株式会社の杉本雅明氏らによる研究グループは、熱収縮性のシートに折紙のパターンを印刷し、そのシートを加熱することによって、与えられた多面体を自動的に折る技術を開発した。
これまで、理論上は1枚の紙からあらゆる多面体を折れる折紙を設計する手法はあったものの、設計された複雑なパターンを簡単に製造する手法は存在しなかった。今回、インクジェット印刷の解像度を活用することにより、従来の1200倍以上の解像度を実現し、最大で十万本以上の折り目と数万個の面を持つ折紙を自己折りすることに成功したという。
非常に複雑な折紙パターンを数秒から数分で自己折りすることが可能になったことで、実質的にはどんな立体形状でも2次元の製造プロセスと自動変形により実現できることが明らかになった。
工場やFabLabなどのワークショップ会場で使用される汎用的なUVプリンタと、熱収縮するシート状の素材があれば実現できるため、加熱するだけで好きな形に変形するプロダクトとして幅広く応用可能。同チームでは「本手法がものづくりの新たな技術として確立し、さまざまな産業やデザインに活用されれば」と期待を寄せた。
Top Image : ©東京大学工学部