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2025.06.27
知財ニュース
ペロブスカイト太陽電池を搭載、衣服で発電する「スマートウェア」―大阪・関西万博で実証実験

ペロブスカイト太陽電池を搭載した「スマートウェア」の実証実験が、大阪・関西万博で行われている。
ベストの背中にフィルム型のペロブスカイト太陽電池を搭載しており、発電した電力で冷却ファンを回す、スマートフォンを充電するなどができる。万博パビリオンのスタッフがウェアを着用し、機能や耐久性などを検証している。
実証実験をけん引するのは、自動車部品や情報通信機器などを手がける豊田合成だ。高周波電源の制御技術を用い、発電した電力を蓄電する「パワー制御ユニット」を開発。ペロブスカイト太陽電池は、同分野の研究開発を進めているエネコートテクノロジーズと共同開発した。
エネコートテクノロジーズは京都大学発のスタートアップ企業で、豊田合成は2023年に出資。晴天時だけでなく、曇り空や室内光でも発電可能なペロブスカイト太陽電池の開発技術を持つ。軽量で柔軟性があり、場所を選ばずに設置できる。
衣服への搭載は、総合繊維業メーカーのセーレンと協業で実施。同社の導電ファブリック「METAFLEX(メタフレックス)」と縫製技術、デジタルプロダクションシステムを用いて、配線なしで太陽電池を装着する技術を構築した。「メタフレックス」は、繊維と金属を複合した電極・配線材。布のような柔軟性・伸縮性・耐屈曲性を持ち、配線や回路、センサーなど、様々な用途に対応できる。
「スマートウェア」は電源供給するシステムのため、冷却ファンに限らず、寒い時期は暖房機器に替えることも可能。豊田合成は、前述の端末充電のほか、センサーと組み合わせた健康管理機能の搭載なども想定している。万博での実証実験の先に、ウェアラブルな太陽電池として、多様な用途での展開が期待される。
Top Image : © 豊田合成 株式会社