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2024.01.08

知財ニュース

植物が"匂い"を感じる瞬間の可視化に成功─植物同士のコミュニケーションの解明に大きく前進

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埼玉大学大学院理工学研究科の豊田正嗣教授を含む研究グループ(※)は、山口大学の松井健二教授と共同で行った研究により、植物が食害を受けた際に放出される"匂い"を感知する瞬間のカルシウム(Ca2+)シグナルの可視化に成功した。これにより、植物は近隣の植物に危険情報を伝え、昆虫に対する防御反応を引き起こしていることを明らかにした。

研究では、シロイヌナズナにCa2+のバイオセンサー遺伝子を組み込み、植物が「どのような匂い物質を」「どの細胞で」「どのタイミングで」感知しているかを明らかにした。

特に、草刈りをした時や昆虫に食べられた時などの、植物が食害を受けた時に発生する“青臭さ”の主成分である「緑の香り」を感知し、シロイヌナズナは約1分でCa2+シグナルを発生させることが判明。

植物には嗅覚は無いが、このシグナルは植物の嗅覚ではなく、気孔からの緑の香りの取り込みによって周囲の状況を感知し、集団で防御反応を引き起こしているという。

2023100601 匂い物質を用いた植物間コミュニケーション

研究成果は、英国科学雑誌『Nature Communications』で、2023年10月17日午前10時(ロンドン現地時間)に公開された。植物が匂いを感知し、それに対する生命の危険情報を共有する機構を解明している。

植物が匂い物質を使って、別の個体と情報のやりとり(植物間コミュニケーション)をしていることは、古くから報告されていたが、「植物間コミュニケーション」をリアルタイムで可視化した研究はこれまでになかった。植物の未知の感知メカニズムに光を当てたこの研究成果は今後、農業や生態系の理解に貢献する可能性があるとしている。

20231119 news06 02 匂い物質を感じた時に発生するシロイヌナズナの「Ca2+シグナル」のリアルタイムイメージング

20231119 news06 03 (Z)-3-ヘキセナールを感知した時に発生するシロイヌナズナの「Ca2+シグナル」

※研究グループ:埼玉大学大学院理工学研究科の荒谷優里大学院生、上村卓矢博士研究員、萩原拓真大学院生、豊田正嗣教授(サントリー生命科学財団・SunRiSE Fellow、米国ウィスコンシン大学マディソン校・Honorary Fellow)ら、および山口大学の松井健二教授

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Top Image : © 埼玉大学大学院 理工学研究科

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