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2025.04.24
知財ニュース
東北大ら、月面上で修理・自己再生できる変幻自在なAIロボットの開発プロジェクトを進行中―試作機を公開

東北大学の吉田和哉教授を筆頭とした研究グループは、2050年代に月面での持続的な有人活動を可能にするためのAIロボット技術の開発を行っている。同研究グループは、内閣府による「ムーンショット型研究開発制度」のもと変幻自在なAIロボット試作機を公開した。
ムーンショット型研究開発制度は、少子高齢化や地球温暖化、大規模災害などの様々な課題解決に向け、日本発の破壊的イノベーションを創出し、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を行うというコンセプトで創設されたプログラムだ。
このプログラムの目標は1〜10項目あり、目標3の「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットの実現」(プログラムディレクター:福田 敏男 名古屋大学 未来社会創造機構 客員教授)のもと「月面探査/拠点構築のための自己再生型AIロボット」のプロジェクトにて東北大学の吉田和哉教授がプロジェクトマネージャーとして2022年度に採択された。
このプロジェクトでは、2050年代に月面での持続的な有人活動を可能にするためのAIロボット技術の開発を行っている。月面への物資輸送は輸送する機会が限られ、大きなコストがかかる。開発の要となるのは、月面環境下で柔軟に機能する革新的なモジュラー型AIロボットシステムだ。
ここで開発するAIロボットは、ミッションの目的に応じて自己再構成ができ、その部品は月面上で修理・自己再生できる変幻自在な「自己再生型AIロボット」であることが特徴だ。
完成されたロボットではなく、アームや車輪などの基本要素となるモジュールを月に送り、AI技術を用いて自律的に組み立てることで、現場の状況やミッションに柔軟に対応可能な変幻自在のロボットの実現を目指している。また、これらのロボットが互いに協働し、自律的に任務を遂行する未来像を描いているのだという。
2040年~2050年代には、ロボットが月面上に拠点を構築し、人が月面上で創造的な活動を行うというムーンショット目標を達成し、さらにその活動は月面に限らず、月以外の天体へと拡がっていくことを目指す。開発された技術は、地球上の自然災害等にも応用できるとのこと。
今回、地上実験用のモジュラー型AIロボット「MoonBot」の試作機が完成し、JAXA相模原キャンパスの宇宙探査フィールドにて公開実験を行った。
さらに、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)にて、2025年7月22日~9月15日の期間に、フューチャーライフ万博「フューチャーライフエクスペリエンス」において、ムーンショットが目指す未来社会について、体験・体感型の展示が週替わりで行われる。吉田教授らの研究グループの展示は8月6日~8月11日の期間で行われる予定だ。
Top Image : © 東北大学