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2025.09.02
知財ニュース
ヤマトがロボット配送実験、ロボアームでエレベーター操作と宅配完結―居住者宅まで荷物を直接届ける

ヤマト運輸と建屋フロア間自律走行ロボットを開発する株式会社WATTは、8月22日より、大規模マンション特有の環境で、自動配送ロボットの運用性能(正確性や生産性)や障害物回避など動作機能の検証を開始した。
自動配送ロボットは、ロボットアームでオートロックの解錠やエレベーター操作を行い、配達先へ移動するという。
本取り組みは、大規模マンションにおける新たな配送モデルを確立する。マンション居住者の利便性を高めると同時に、配送ドライバーの業務負担軽減にも貢献することを目的としている。実証実験では、大規模マンション特有の環境下で、正確性、生産性、障害物回避などの自動配送ロボットの運用性能を検証するとともに、ロボット導入による利便性や住民満足度、運用コストなどの効果を評価する。
実証の流れは以下の通り。
(1)常駐スタッフがスマート宅配ボックスに荷物を格納する
(2)スマート宅配ボックスに荷物のサイズと送り状に記載されたお届け先情報を読み取らせる
(3)居住者の方は、通知メールに記載のURLから受け取り方法や受け取り日時・時間帯を指定する
(4)スマート宅配ボックスが、自動配送ロボットに配送を指示する。自動配送ロボットは、スマート宅配ボックスに移動し、荷物を受け取る
(5)自動配送ロボットは、ロボットアームでオートロックの解錠やエレベーター操作を行い、配達先へ移動する
(6)自動配送ロボットは、指定された配達先に到着したら、受取人となる居住者の方に到着のお知らせと開錠用パスワードをメールで通知する。対面での受け取りを希望した場合は、チャイムを鳴らす
(7)居住者は、待機している自動配送ロボットの液晶画面にメールで通知された開錠用パスワードを入力し、自動配送ロボットのドアが開いたら荷物を取り出す。非対面での受け取りを希望した場合は、自動配送ロボットが玄関ドア前に置き配する
実証実験は、千葉県浦安市の「プラウド新浦安パームコート」で8月22日から9月24日まで、東京都品川区の「プラウドタワー目黒MARC」で10月23日から12月10日まで実施される予定。同実験では、送り状を読み取り自動で荷物を受け渡す「W-Station」というスマート宅配ボックスと、エレベーターやセキュリティドアを操作して配送する対面型の「James mW」、そして置き配に対応する非対面型の「James W」という2種類の自動配送ロボットが各1台ずつ使用される。
都市部で増加する大規模マンションでは、居住者の荷物受け取りニーズも多様化している背景があり、両社はこの実証を通じて、大規模マンションでの配送ニーズや24時間稼働可能な自動配送ロボットがもたらす新たな利便性を検証する。2026年中の実用化を目指し、今後は実証地域の拡大や、他の宅配事業者、他業界の荷物の配送にも対応していく計画だ。
Top Image : © ヤマトホールディングス