No.1129

2026.06.10

高い接着性と「水で剥がせる」易解体性を両立した、海藻由来の循環型接着剤

LOOPGLUE(ループグルー)

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概要

「LOOPGLUE(ループグルー)」とは、セメダイン株式会社、コンテンポラリーデザインスタジオ we+(ウィープラス)、株式会社博展の3社が共同開発した、海藻由来のアルギン酸ナトリウム系接着剤。最大の特徴は、実用的な「高い接着性能」を維持しながら、役割を終えた後は「水で簡単に分解・剥離できる(易解体性)」という、一見矛盾する2つの特性を両立させている点にある。
おもに展示会ブースの木工造作における「表装工事用」としての用途が想定されており、展示会特有の高温多湿環境下でも安定して使用できる。従来の接着剤では、会期終了後に壁紙などを剥がす際、パネル側に糊や紙が残ってしまい再利用が困難だった。しかし本製品は、水をかけるときれいに剥離できるため、使用後の木工パネルを新品同様の美しい状態に戻して効率よくリユースすることが可能だ。
被着材料は、紙や壁紙、木材をはじめ、モルタル、ケイ酸カルシウム板、石膏ボードなど幅広く対応している。接着剤を水できれいに剥がす「易解体」の特性を内包することで、従来の使い捨て型が主流だった展示スタイルの構造改革を促し、資材の効率的な再利用(リユース)を可能にすることで、資源循環型イベントの実現に向けた活動を促進する。

tujokoho 従来の方法で接着後剥がした表具と木工パネル:きれいに剥がせず、パネルに残ってしまう

kaiso LOOPGLUE(ループグルー)では、水できれいに剥がせて使用後の木工パネルは新品同様の状態となる

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なぜできるのか?

水で簡単に分解できる海藻由来の接着剤

「LOOPGLUE(ループグルー)」は、強固な接着性と、水による容易な分解・剥離性を両立した海藻由来の循環型接着剤だ。海藻のヌメリ成分である「アルギン酸ナトリウム」に着目し、木材と紙をしっかりと接着しながらも、水をかけるときれいに剥離する特性をいかし、自然由来の接着剤を実現。これまでの「接着=固定するための技術」という常識を覆し、「あとからほどく(解体する)ことを内包した設計」へと転換する。

水をかけるだけできれいに剥がれ、パネルの再利用が可能

従来の展示会ブース施工では、木工造作物に接着剤で壁紙を貼る「表具工事」が一般的だった。しかし会期終了後、壁紙をきれいに剥がすことが難しく、木工壁面をリユースする際の品質維持や、剥離作業にかかる多大な工数が業界の大きな課題となっていた。 この課題に対し、コンテンポラリーデザインスタジオ we+と株式会社博展は、モズク由来のアルギン酸ナトリウムの特性に着目。その後セメダイン株式会社も開発に参画し、100%自然由来の海藻を原料とするアルギン酸ナトリウムを原料として使うことで、易解体性接着剤「LOOPGLUE」が誕生した。
本製品を壁面や什器などの木工造作物に使用して表具仕上げを行うと、使用後に水をかけるだけで壁紙をきれいに剥がすことができる。壁紙の剥がし残りが発生せず、ベースとなる木工パネルを傷めないため、次回のリユース時にも新品同様の状態で再利用が可能だ。この優れたリユース特性により、展示会の壁面パネルを制作する際の「木材の資材調達費」および「制作にかかる人件費」を、それぞれ約15%削減できると試算されている。
また、多孔質素材同士をこの接着剤で接合すれば、什器などを素材や部材の単位までダメージなく分解・回収できるようになる。さらに、有機溶剤などの人体や環境に悪影響を与える物質を含まない自然由来の水系接着剤であるため、展示会場だけでなく教育現場などでも安心して使用できるのが強みだ。

南米チリの海藻を採用し、環境負荷の低減と現地の雇用創出に貢献

原料となる海藻は、南米チリより、生態系を崩さないように自然のライフサイクルを終え海岸に漂着したもののみを拾い集めるかたちで採取されているものを採用している。海洋資源を有効活用し、自然由来の原材料を使用することで、環境負荷の低減に貢献する。また、環境だけでなく現地の雇用の創出にもつながっている。

相性のいい産業分野

アート・エンターテインメント

美術館や博物館、イベントにおける展示パネルでの活用

住宅・不動産・建築

再利用を想定した設備への利用

生活・文化

部屋の模様替えで簡単に取り付け、剥がせる壁紙の開発

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 博展