News
2021.10.14
知財ニュース
米パデュー大学の「最も白い塗料」がギネス世界記録に認定─地球温暖化の抑制を目的に開発
地球温暖化の抑制を目的に米パデュー大学が開発した「最も白い塗料」が、ギネス世界記録で認定された。世界で最も白い塗料として、9月16日発売の『ギネス世界記録2022』に掲載される(日本語版は11月17日に発売予定)。
開発したのは、パデュー大学機械工学教授のXiulin Ruan氏率いる研究チーム。研究チームは、省エネと気候変動対策を念頭に、太陽の光を建物から遠ざけることが可能な、光を反射させる塗料を着想。開発プロジェクトは7年前から開始し、研究を行ってきた。そして2020年10月、塗料の白さの限界を超えた超白の、最も白い塗料の開発に至ったという。
市販されている一般的な白い塗料の場合、太陽光の反射率は80~90%で、塗布した表面を冷やすことはできない。しかし本塗料は、98.1%の太陽光を反射。また同時に、熱を赤外線として放出するため、熱の放出量が吸収量よりも大きくなる。そのため、本塗料を塗った建物の表面は冷却され、周囲の温度よりも下げることができる。
研究チームによると、本塗料を約1,000平方フィート(約93㎡)の屋根に塗布すると、10kW分の冷却効果が得られるという。
赤外線カメラの画像(右)、「最も白い塗料」を塗った箇所が中央の濃紺の四角。周囲は赤く高温状態だが、塗布箇所は青みがかり、温度が低い状態が確認できる。
最も白い塗料の開発は、エアコンの代替として放射冷却塗料を開発しようとする、1970年代の試みがベースとなっている。研究チームは、塗料の材料を100種類以上検討し、10種類に絞り込んだ上で、各々の材料の処方について約50種類のテストを実施。最適な材料として、写真用紙や化粧品にも使われている「硫酸バリウム」を採用している。
今後、公共施設や住宅などの各建物へ本塗料の活用が進めば、省エネの促進はもちろん、地球温暖化の抑制につながると期待される。
Top Image : © Purdue University