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2021.09.16
知財ニュース
戦争廃材からつくられたジュエリーが登場─ラオスに残る地雷や爆弾をアップサイクル
東南アジア内陸に位置するラオス。自然豊かで古都や世界遺産の遺跡を誇るこの国は、穏やかな景色とは裏腹に、「歴史上最も空爆を受けた国」という一面を持つ。
1964年〜1973年のベトナム戦争中に投下された爆弾は、約200万トン。ラオス人1人あたり1トン以上の爆撃がされてきたと言われ、これは第二次世界大戦を通じて使用された爆弾の倍以上の数字だ。激戦地となったラオスには、今なお不発弾や墜落した戦闘機の残骸だけでなく、地雷撤去団体により掘り起こされ安全処置を施された地雷もその土地の所有物として残されている。
そんな“負の遺産”である戦争廃材をアップサイクルしたエシカルジュエリーが登場し、ヨーロッパを中心に世界中から注目を集めていることをご存知だろうか。
ラオスの農山村部に残る戦争廃材を減らし、村の収入を増やすことを目的にイタリア人アーティストが地域コミュニティと提携して制作するブランド「NO WAR FACTORY」。
不発弾が最も多いと言われるシェンクワン地域の首都から数キロに位置するバンナフィアという村において、処理の難しい戦争廃材からアルミニウムの部分を溶かし、型に流し込んで鋳造。これをイタリアへと運び、最後はトスカーナ州ヴィアレッジョの金銀細工職人の手により仕上げ加工や装飾が施される設計となっている。
つけていることを忘れるようなシルバーよりも軽い素材、シンプルでどんな服にも合うデザインが特徴だ。
ちなみに、これらの製品はイタリアの研究所で分析テストが実施され、放射性元素などが含まれていないことが確認されている。
アップサイクル商品として廃棄物を減らすだけでなく、戦争の残骸をひとつでも減らすことで、世界から武器や戦争の根絶を目指すNO WAR FACTORYは、ヨーロッパで人気のブランドとして成長している。
そんなブランドが、新たなチャレンジを応援するクラウドファンディングサービス「makuake」により、日本に上陸。支援者へのリターンとして、NO WAR FACTORYの中でも人気の定番アイテムが、複数のデザインとサイズの展開で用意されているとのこと。
人を傷つけるための道具が、人を輝かせるために生まれ変わる。平和への想いを込めて世界を渡ってきたジュエリーは、ぜひ一度手に取ってみたい一品だ。
Top Image : ©NO WAR FACTORY