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2023.05.29
知財ニュース
畳×大型3Dプリンターの家具、ミラノサローネ国際家具見本市の登竜門「サローネサテリテ・アワード」グランプリを獲得
プロダクトデザイナーのデザインラボ「HONOKA」は、2023年4月18日より、イタリア・ミラノで開催されたミラノサローネ国際家具見本市 2023で、「Tatami ReFab Project」と題した、廃棄い草と樹脂を使った3Dプリント家具シリーズを出展。若手デザイナーの登竜門とされる「サローネサテリテ・アワード」のグランプリを獲得した。
「Tatami ReFab Project」は、触れる機会が少なくなっている畳を現代の暮らしに編み直した新たな家具を提案するプロジェクト。廃棄予定のい草(畳の原料)と生分解性樹脂(酢酸セルロース)とを混ぜ合わせてペレット化することで、3Dプリンターによる家具制作を可能にした。
製造と材料開発には、株式会社ExtraBoldの設備と技術を活用。同ラボのメンバーに同社の大型3D付加製造機(3Dプリンター)「EXF-12」や造粒機などの設備を貸与し、試行錯誤を重ねながらおよそ3ヶ月で今回の展示作品を完成させたとのこと。
なお、同社では、技術メンバーやクリエイティブメンバー、他の企業からの参加メンバーで構成されるトレーニングジム「BOLDGYM」を試行運営中。本プロジェクトはBOLDGYMの一部メンバーの自主活動の一環からスタートしたものだという。
香り豊かで肌触りよく、調湿や消臭の機能もある畳。同社では、このプロジェクトを通じ畳の魅力を次世代へ発信していくとしている。
■展示作品(一部)
SORI /MUKURI
畳樹脂を編んだ家具。日本の伝統的な造形とテクスチャを3Dプリンティングで再構築しました。独自に開発した網目構造は、適度な抜けによって見る角度で表情が変化する。畳の含有量を変化させる手法で、生い茂るイグサを想起させる色彩とした。
CHIGUSA
日本の伝統的な「千筋模様」をモチーフに、大型3Dプリンターで出力した立体的なパーツを1本ずつ組み合わせたスツール。線状の造形と畳を混合した強くしなやかな樹脂によって弾力のある座り心地を生み出す。
TABA
束ねたイグサをモチーフにした照明。大型3Dプリンターから垂らすように出力し、植物的な形状を造形。畳を混合した透明樹脂が、光を拡散しつつも、枝形状の隙間からは光がこぼれ落ちる。
TACHIWAKI
「立涌」という着物の柄をモチーフに本体を複数のストライプで構成した洗面台。畳を混合した樹脂を使用し、大型3Dプリンターの吐出量を制御する事で生まれるユニークな表情をバスルーム業界に提案する。
YOCELL
日本の伝統的な文様である「麻の葉」をモチーフにしたスツール。大型3Dプリンターによる積層跡を活かし、異なる向きに寄せ合わせることで魅力的な表情を生み出す。
AMI
日本の平面的な編み模様を立体的に再構築したスツールとランプシェード。畳を混合した樹脂を垂らしたり、宙に出力することで生まれる自然な造形を活かした。見る角度によって変化する表情と、色のグラデーションを組み合わせて新しい編みの表現を目指した。
KOHSHI
生け花のようにあらゆる角度や位置に植物を差し込むことができる花器。日本建築を想起させる格子状の構造は見る角度により繊細に表情を変える。
Top Image : © HONOKA