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2022.10.28
知財ニュース
ソフトバンクら、ワイヤレス電力伝送の機能を実装したシステムの開発と実験に成功─完全ワイヤレス社会の実現へ一歩
ソフトバンク、京都大学、金沢工業大学は、10月7日、ミリ波の通信装置にワイヤレス電力伝送の機能を実装したシステムの開発に成功したことを発表した。
サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させた「Society 5.0」社会の到来により、2035年には一人100台以上のIoTデバイスを扱うような世界になることが予測されている。IoTデバイスへの給電のため、Beyond 5G(いわゆる6G)での電力も含めた完全ワイヤレス化が重要な課題になってきた。また、Beyond 5Gは、諸外国でも研究開発が活発化しており、国内でも国際競争力や安全保障の観点からBeyond 5Gの要素技術の迅速な確立が目指されている。
こういった背景を踏まえ、ソフトバンクと京都大学、金沢工業大学は「完全ワイヤレス社会実現を目指したワイヤレス電力伝送の高周波化および通信との融合技術」に関する共同研究を推進してきた。本研究は2021年10月4日、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)による「Beyond 5G 研究開発促進事業」令和3年度新規委託研究の「Beyond 5G 機能実現型プログラム」公募(第1回)に採択された。
本研究は、ワイヤレス電力伝送の社会実装と、IoTデバイスへの給電インフラの構築を目指すもの。この目標の達成のため、ワイヤレス電力伝送のミリ波帯への移行や、ミリ波通信とワイヤレス電力伝送の連携・融合(周波数共用)、既存ミリ波通信基地局における電力利用についての研究開発を行ってきた。
3者は今後、より高効率で簡易な送電アンテナのシステムの構築や、受電レクテナ(電波を電気エネルギーに変換するアンテナ)の受電性能の向上、屋外での技術の有効性や商用利用の実証などを実施する予定。Beyond 5Gでの通信・電力伝送の完全ワイヤレス化の達成と、新規ビジネス創世に向けたサービスプラットフォームの構築を目指す。
Top Image : © ソフトバンク 株式会社