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2023.01.10
知財ニュース
ドイツの映像作家が人工子宮施設「EctoLife」のコンセプト映像を公開─年間30,000人の赤ちゃんをカプセル生育

ドイツの映像作家・科学コミュニケーターのHashem Al-Ghaili氏は、2022年12月9日、妊娠も出産を必要としない、世界初の人工子宮サービス施設「EctoLife」のコンセプト映像を公開した。
「EctoLife」は、年間30,000人の赤ちゃんを育てられるとされる人工子宮施設で、過去50年以上にわたる世界的な研究に基づくもの。妊娠はおろか受胎すらせずに子供を授かれるため、子宮を切除した女性や、妊娠に苦労している女性の人生を変える可能性があるとされている。
「EctoLife」では、赤ちゃんの栄養素をカスタマイズしたり、赤ちゃんの身体的特徴を監視し潜在的な異常を報告したりといったことを目的にAIの活用が想定されている。また、人工子宮内には、360度カメラやスピーカーの設置も想定されており、親はヘッドセットから赤ちゃんが感じる世界を擬似体験できるほか、映像をビデオフィードとして提供することで、スマートフォンで子供の成長を監視できる。さらに、スピーカーから自分の声やプレイリストの曲を人工子宮内に再生することが可能で、胎内に似た環境を赤ちゃんに提供できるという。
WHOによれば、現在、世界中の生殖年齢のカップルの15%が不妊の影響を受けているとされ、世界の出生率は過去70年間で50%低下したほか、不妊症で毎年約300,000人の女性が妊娠または妊娠直後に死亡している。こういった背景からAl-Ghaili氏は、従来の出産に代替するコンセプトとして「EctoLife」を考案。同氏は、本施設により、不妊症の危機に正面から立ち向かえるとしている。
2017年に「Nature Communications」で発表された人工子宮「BioBag」では、子羊の生育に成功している科学者たち。果たして同じことがヒトに対しても行えるのか、科学の今後に期待したい。
Top Image : © Hashem Al-Ghaili