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2025.01.14
知財ニュース
Honda、独自のビークルOS「ASIMO OS」を発表、2026年にグローバル市場へ投入する「Honda 0 シリーズ」に搭載
Hondaは、米国ネバダ州ラスベガス市で開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」で、2026年にグローバル市場への投入を開始するEV「Honda 0(ゼロ)シリーズ」の「Honda 0 SALOON(サルーン)」、「Honda 0 SUV」のプロトタイプを世界初公開するとともに、Honda 0シリーズに搭載する独自のビークルOS「ASIMO OS(アシモ オーエス)」を発表した。
ASIMOは、1986年に研究開発を開始し、2000年に発表したヒューマノイドロボットで、2000年から2010年代にかけてロボティクスの世界で象徴的な存在となった。Honda 0シリーズもASIMOと同様、「世界中の皆様に驚きと感動を与え、次世代EVの象徴となることを目指す」という思いを込め、ビークルOSに”ASIMO”の名前を付けたのだという。
Hondaは、ASIMOの開発後もASIMOの外界認識技術や人の意図をくみ取って行動する自律行動制御技術など、培ってきたロボティクス技術をさらに進化させてきた。Honda 0シリーズでは、これらと先進知能化技術を融合することで、Honda独自のソフトウェアデファインドビークル(SDV)の価値を提供することを目指すとしている。
「ASIMO OS」は、ソフトウェアプラットフォームとして、AD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)やIVI(車載インフォテイメント)などのクルマのシステムを制御するECU(Electronic Control Unit)を統合的にコントロールする。
このASIMO OSを基盤として車載ソフトウェアを常にアップデートすることで、移動に楽しさや快適性をもたらす空間価値やデジタルUX、人車一体の操る喜びを司るHonda独自のダイナミクス統合制御などの機能やサービスを、車両を販売した後も、OTA(Over The Air)を通じ、ユーザーの嗜好やニーズに合わせて進化させていくとのこと。
今回公開された2種のプロトタイプは、ASIMO OSによりユーザーの一人ひとりに“超・個人最適化”された移動体験が提供される。
「Honda 0 SALOON」は、CES 2024で公開したコンセプトモデル「SALOON」を、2026年の発売に向けて進化させたプロトタイプ。スポーティーなスタイルと、広い室内空間を両立し、自動運転技術を搭載。
「Honda 0 SUV」は、中型SUVのプロトタイプ。「Honda 0 SALOON」と同様、さまざまな次世代技術を搭載。さらには、Honda独自のロボティクス技術で培った、3次元ジャイロセンサーを用いた高精度の姿勢推定と安定化制御などにより、さまざまな路面環境において安心で意のままのダイナミクスを実現する。
Hondaは、2021年に「自動運転レベル3(アイズオフ):条件付自動運転車(限定領域)」に適合する先進技術を有する「Honda SENSING Elite(ホンダ センシング エリート)」を搭載した「LEGEND(レジェンド)」を発売し、世界で初めて自動運転レベル3を実用化した。
同社は、このアイズオフ技術を普及させていくことが交通事故死者ゼロに繋がる道であると考え、Honda 0シリーズを通じて、より多くの人の手が届く自動運転車をグローバルで提供していくとしている。
この実現に向けて、Helm.aiの「教師なし学習(機械に正解を与えずに学習させ、自力でデータの規則性や特徴を導き出す学習方法)」と、熟練ドライバーの行動モデルを組み合わせた独自のAI技術により、少ないデータ量でAIが学習し、効率よく自動運転・運転支援範囲を拡大する。さらには、Honda独自の協調AIを活用することで、人の運転でも難しい周囲の交通参加者との「譲り合い」といった協調行動の精度をより一層向上させるとしている。
Honda 0シリーズでは、まず高速道路での渋滞時アイズオフから自動運転技術を搭載し、OTAによる機能アップデートを通じて、運転支援・自動運転レベル3適用の範囲を拡大していく。自動運転レベル3では、運転主体が人からクルマへと変わり、映画鑑賞やリモート会議など、これまでにはできなかった「ドライバーによる移動中のセカンドタスク」が可能となる。Hondaは、この技術を進化させることで、世界に先駆けて全域アイズオフを実現し、移動の新たな可能性を切り開くとしている。
また、同社は、ルネサス エレクトロニクス株式会社と、コアECU向け高性能SoC(システム・オン・チップ)の開発契約を締結したことも発表している。
「Hondaが目指すソフトウェアデファインドビークル(SDV)~ASIMO OSを核に、ユーザー一人ひとりに寄り添う“超・個人最適”なクルマを創造~」
Top Image : © 本田技研工業 株式会社