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2022.01.12
知財ニュース
慶應大やNTT、装着者の作り笑いと自然な笑顔を識別する眼鏡型デバイスを開発

慶應義塾大学大学院理工学研究科杉本研究室とNTTコミュニケーション科学基礎研究所による研究チームが、「自然な笑顔」と「作り笑顔」の2種類の笑いを識別する眼鏡型デバイスを開発した。デバイスには非接触のセンサーとして反射型光センサーアレイが組み込まれている。
表情筋の動きによって皮膚変形が生じると、眼鏡フレームに取り付けられた16個の反射型光センサーと皮膚表面の間の距離に変化が生じ、この距離によって反射強度が変わることで表情を識別する設計だ。
実証実験では、21~25歳の12人の被験者を対象に、コメディ動画によって誘発された快感情を伴う自然な笑いと、コンピュータからの指示によって意図的に作らせた快感情を伴わない作り笑いとを区別できるかを検証した。
自然な笑いと作り笑いの識別には、センサーから得られた反射強度の分布である幾何学的特徴と時間的特徴の2種類の特徴量を使用。それぞれの特徴量は、笑いが生じた際のセンサー値の変位とその変位にかかった時間から抽出した。これらの特徴量を使い、機械学習(SVM)と人間の視覚的判定による検証を比較した結果が下記の図となる。
結果は、人間の視覚による識別率は、静止画を使った場合は平均71.5%、表情変化の動画から人間が判定した場合は90.2%の識別精度となったのに対して、幾何学的特徴と時間的特徴の両方を使用した機械学習(SVM)の場合は94.6%の平均識別精度を示した。
人間が動画を見て識別した場合の精度とほぼ同等かそれ以上であったことから、これらの結果は、眼鏡型デバイスは表情の幾何学的な違いと笑い表出時の時間的な違いにより、自然な笑いと作り笑いを高い精度で識別できることを示すという。
本技術は、この2つの笑いをコンピュータが適切に推測することができれば、ユーザーへの理解が深まり、インタラクティブシステムに応用可能として、今後も研究が進められるとのこと。
Top Image : © Getty Images