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2025.10.02
知財ニュース
マイクロプラスチックの濃度は、屋外より室内が高く、健康への影響は認識よりも大きい可能性があることを発見

トゥールーズ大学の研究チームは、マイクロプラスチックに関して、室内を浮遊する1~10マイクロメートルのマイクロプラスチックの濃度は、これまで考えられていたよりも高いことが明らかになったと発表した。
研究チームによると、成人の屋内でのマイクロプラスチック吸入量は1~10マイクロメートルでは1日あたり約68,000個になるのだという。これは、推定値の100倍であり、マイクロプラスチックの吸入による健康への影響は認識よりも大きい可能性があることを示唆している。
マイクロプラスチックは、さまざまな形やポリマー組成を持つ、サイズが1マイクロメートルから5ミリメートルのプラスチック粒子のこと。1950年以降、世界中で人間がプラスチック材料を広範囲に使用し、プラスチック廃棄物が適切に管理されなかったことに起因して生じた汚染物質だ。
過去10年間で、マイクロプラスチックは、都市部や高度に工業化された地域から遠隔地の山岳地帯、海洋境界層、屋内環境まで、世界各地の屋外大気エアロゾルや沈着物から検出されている。
最近の研究では、屋内の浮遊するマイクロプラスチック濃度は屋外の8倍高く、屋内に沈着したマイクロプラスチック粉塵の濃度は屋外の30倍高いことが示されている。先進国の人々は、5%を車内で過ごすなど、時間の約90%を屋内で過ごしており、屋内環境でマイクロプラスチックを吸入する可能性はかなり高く、注意が必要だ。
吸入された10マイクロメートルを超えるマイクロプラスチック粒子は通常、上気道に保持され、体外へ排出される。しかし、10マイクロメートル未満の粒子は肺の奥深くまで浸透する可能性があり、炎症などの呼吸器系の問題や、気管支炎や喘息などの慢性疾患を引き起こす可能性がある。さらに、マイクロプラスチックは有毒な添加物や吸着された環境汚染物質を放出し、内分泌機能を混乱させ、癌を含むさまざまな疾患のリスクを高める可能性がある。
Top Image : © トゥールーズ大学