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2025.06.24

知財ニュース

イノカが日本初の快挙、都市ビルの閉鎖水槽でサンゴ産卵に成功―IoT技術で海洋生態系再現

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株式会社イノカは、株式会社フォーカスシステムズと共同で進めてきた、IoTを活用したサンゴ産卵実験に日本で初めて成功したことを発表した。

2020年の沖縄県海域の水温データと同期させたビル内の閉鎖水槽内で、石垣島産のウスエダミドリイシの産卵を確認した。人工環境下でのウスエダミドリイシの複数コロニー同時産卵の成功は日本初。(イノカ調べ)

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同実験は、2023年4月にフォーカスシステムズの本社ビル内に設置した閉鎖水槽内で進められてきたもの。4月28日より2020年の沖縄県海域の水温データと同期させることで、2025年6月4日・6月5日・6月7日に、石垣島産のウスエダミドリイシの複数コロニーでの産卵を同時に確認できたという。

同社は、20年後には70~90%が消滅すると言われているサンゴ礁において、都市部での研究の可能性を広げる画期的な一歩だと位置付けている。

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実験の成功の裏には、両社が共同で開発した最先端の技術がある。イノカが持つ、海の生態系を精密に再現する「環境移送技術」と、イノカとフォーカスシステムズが共同で開発しているIoT水槽管理システム「MONIQUA」を用いて、沖縄の過去の海水温の変化データを水槽内に人工的に再現・管理することで、サンゴが産卵する時期の繊細な環境変化を人工的に再現することに成功した。

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サンゴ礁は気候変動による海水温の上昇で、20年後にはその70~90%が失われるという深刻な危機に直面している。しかし、サンゴは非常に繊細な生き物で、人工環境下での産卵実験は困難とされていた。

今回の実験では、都市部のオフィスや学校といった多様な場所においてもサンゴ礁の研究が可能になる未来が示され、サンゴ保全に寄与するものとして大きな注目を集めている。

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研究チームは今後、産み落とされた卵や幼生の成長を詳細に観察し、サンゴの養殖メカニズムにさらに迫っていく計画。将来的には、卵を持たない状態からサンゴを育てて産卵させるという、より高度な挑戦も視野に入れているという。

将来的には教育機関や研究機関への技術展開も検討していく。また、水温をはじめとした閉鎖環境を繊細にコントロールできる本技術を、養殖場等、サンゴ以外へも展開していくとしている。

プレスリリースはこちら

Top Image : © 株式会社 イノカ

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