No.1124

2026.05.20

下関の銘魚と二種の麹が醸す、臭みのない魚醤

潮醤(うしおしょう)

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概要

「潮醤(うしおしょう)」は、山口県下関産の真河豚(マフグ)と連子鯛(キダイ)を主原料に、醤油麹と米麹を組み合わせて仕上げた魚醤。東京大学大学院農学生命科学研究科、九州大学大学院農学部、山口県産業技術センターとの5年にわたる共同研究を経て、魚醤特有の臭みを抑えた澄み切った味わいを実現している。企画は株式会社REDDの望月重太朗氏、製造は創業60余年の老舗仲卸・畑水産が担当。少量の滴下で料理を仕上げられる専用ボトルとセットで提供され、家庭料理からプロの厨房まで使いやすい新しい発酵調味料として位置づけられる。

ea3a2195b14f70995c1c5b7520493a98 「ほんの数滴」を可能とするボトルデザイン。通常の醤油瓶とは異なる、特殊な口元形状のボトルを採用。必要な量を数滴単位で正確に落とせる滴下性と、液ダレを防ぐ使いやすさを実現

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なにがすごいのか?

  • 数滴で料理の旨みを引き上げられる、臭みの少ない魚醤を作れる

  • 醤油麹・米麹・厳選魚の三者で重奏的なアミノ酸の旨みを引き出せる

  • 通常の醤油瓶ではなく、滴下に最適化したボトルで使い分けられる

なぜ生まれたのか?

望月重太朗氏は、下関でフグ加工会社「河久」を営んでいた父・俊孝氏の事業を見て育った。1992年創業の「河久」は地域のフグ文化を支え続け、2010年からは父が「誰も手を出していないトラフグの魚醤」の開発に挑み、5年にわたる大学・産業技術センターとの共同研究を経てトラフグ魚醤を完成させた経緯がある。2023年、父の引退で「河久」は31年の歴史に幕を閉じる。望月氏は「この味と技術を未来に残したい」という想いから、自ら手を挙げて父の製法を受け継ぐことを決めた。フグ専業の老舗仲卸である畑水産との連携によって、トラフグだけでなく真河豚と連子鯛という二種の銘魚で新たな魚醤を立ち上げる構想に発展している。

なぜできるのか?

大学·産業技術センターと積み上げた5年の研究製法

潮醤の製法は、東京大学大学院農学生命科学研究科・九州大学大学院農学部・山口県産業技術センターとの共同研究で確立された。化学調味料を使わず魚と麹の発酵だけで旨みを引き出す設計で、グルタミン酸やアスパラギン酸など複数のアミノ酸がバランス良く発生する。研究当時の学会発表資料も公開されており、臭みの原因物質を抑えながら旨みを濃縮する点が中核技術になっている。

老舗仲卸「畑水産」の目利きとHACCP対応設備

下関は真河豚と連子鯛の水揚げ量が国内トップクラスで、その流通を60年以上担ってきたのが畑水産だ。同社はミシュラン星付き店を含む多くの名店に魚を卸す目利きを持ち、HACCP認証取得の加工施設や3Dフリーザーを導入して伝統と現代の品質管理を融合している。仕込みごとに同じ品質の素材を確保できることが、ロット間でぶれない発酵調味料の生産を支えている。

数滴での使用を前提とした専用ボトル

通常の醤油瓶ではなく、口元形状を独自に設計した60mlの専用ボトルを採用。滴下精度と液ダレ防止を両立し、家庭でも数滴単位で正確に使い分けられる。刺身、モッツァレラ、卵チャーハン、焼きおにぎりなど、淡白な素材に少量を加えて旨みを足す使い方を前提に設計されており、容器そのものが「数滴で十分」という設計思想を体現する役割を果たしている。

相性のいい産業分野

食品・飲料

化学調味料を使わない発酵調味料カテゴリの新規参入

農業・林業・水産業

水産業: 地域水産の銘魚を加工品にして付加価値化する一次産業の収益化

製造業・メーカー

老舗仲卸の目利きをブランド資産として活かす共創型プロダクト開発

旅行・観光

下関の食文化を起点に、産地と都市部の食卓をつなぐ食ツーリズム

医療・福祉

減塩・低化学調味料を志向する高齢者・療養食の旨み補完素材としての活用

教育・人材

大学・産業技術センターと地域企業が連携する産学連携プロジェクトの事例教材

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 株式会社 REDD