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2023.10.17

知財ニュース

「TOKYO MIDTOWN AWARD 2023」結果発表、グランプリは「動く募金箱」

動く貯金箱2

東京ミッドタウンが主催する、デザインとアートのコンペティション「TOKYO MIDTOWN AWARD 2023」が開催された。このコンペでは、「つながり」をテーマに、人と人、人と社会、日本と世界、リアルとバーチャルの新しいつながり方を求め、次世代を担うアーティストの発掘と応援、その先のコラボレーションを目的に開催している。

16回目となる今年は1,166点の作品が寄せられ、審査員には篠原ともえ氏、菅野薫氏、中村拓志氏、三澤遥氏、山田遊氏を迎え、選出。

グランプリには、黒澤杏さんの「動く募金箱」が選ばれ、優秀賞は4作品、ファイナリストは5作品が選出された。グランプリには賞金100万円、優秀賞には賞金各30万円、ファイナリストには賞金各5万円が授与されたほか、グランプリ受賞者には「ミラノサローネ国際家具見本市」開催中のイタリア・ミラノへの招待が授与された。

グランプリ(1点)

動く貯金箱

動く貯金箱2

受賞者:黒澤 杏(学生/神奈川県出身)

人と人を繋いでいる「バトン」と人と人を繋ぐ活動をしている「募金」をかけ合わせた「動く募金箱」。主流の募金箱は一定の場所に置かれていることが多いですが、人から人へバトンのように繋いでいくことによって様々な人の動いた想いを乗せて届けることができるのではないかと考えました。

優秀賞(4点)

リバースけん玉

リバースけん玉

受賞者:都 淳朗(プロダクトデザイナー/徳島県出身)、太田 壮(UIデザイナー/千葉県出身)

リバースけん玉は従来の「球と皿」「剣と穴」それぞれの役割を入れ替えたけん玉です。シンプルな「役割の逆転」によって、既存の遊びを拡張しながら新しい楽しみ方とコミュニケーションが生まれます。この逆転の体験は、身の回りの既存の役割に目を向け、それらのつながりを考え直すきっかけになるでしょう。

記すビーカー

記すビーカー

受賞者:大原 衣吹(学生/愛知県出身)

オリジナルの目盛りをメモできるビーカーです。六角柱型のビーカーの側面にフロスト加工が施されており、マジックペンで書き込むことができます。時に感覚に頼る調味料の配合を記すことで、親子の関係を、家庭の味を、もう会えないあの人の味を思い出しつないでいきます。

タイムシフトタイマー

タイムシフトタイマー

受賞者:楊 子秋(学生/中国陜西省出身)

「自分が過ごしてきた時間の中で、世界で何が起きてきたのか」それを出発点としたデザイン。タイムシフトタイマーは、計測器によって計測された客観的な時間の長さを具体的な出来事として表示し、私たちの現在の生活を歴史的な出来事や自然現象、個人的な記憶と結びつけ、世界と自分自身に対する理解を深める。

みんなの味噌汁.com

みんなの味噌汁.com

受賞者:スイミー 栗原 渉(サービスデザイナー/宮城県出身)、髙橋 恵佑(デザイナー/宮城県出身)

実家の味噌汁をフリーズドライにして購入できるようにするオンラインショップサービス。味噌や具など、実家仕様に自由にカスタマイズし発注をかけると、数日後には購入できるようになります。味噌汁は、家族と家族をつなぐ大事なツールです。いつどこにいても、家族をつないであげられる、そんなサービスです。利用者が増えれば、次第に日本全国各地・各家の実家の味噌汁の味が楽しめるようにもなります。

ファイナリスト(5点)

傘育て

傘育て

入選者:A STUDIO 陳 陽(学生/中国広東省出身)、呂 木知(デザイナー/中国江蘇省出身)、蒋 方(統合デザイナー/中国甘粛省出身)

雨水や露の滋養を受けた朽ち木にはキノコや苔が芽生えます。そうですね、雨水は植物を潤すべきです。私は傘をさして世界の雨を家に持ち帰り、それを私の植物に与えて滋養を与えます。 苔の小さくて柔らかい枝葉が徐々に広がり、美しい翠緑の景色を作り出します。 木の割れ目はまるで小さな苔の庭園に変わり、生命力に満ちています。木の割れ目に生い茂る苔の景色を眺めると、雨の日の曇りが一掃されたかのようです。

シェアフード

シェアフード

入選者:蘭 雲傑(デザイナー/中国四川省出身)

小さい頃に友だちとキャンディーを分け合った幸せな記憶が誰にでもあるのではないでしょうか。食べ物を分かち合うことで、味覚を通じて友だちとの友情が築かれ、人と人との距離が縮まります。シェアすることはシンプルな行為ですが、味覚という共通の感覚を通じて友だちとの距離が縮まり、食べ物をきっかけとして話題が広がり、新たに友情が育まれるのではないでしょうか。 「Sharing Food」にはクッキー、チョコレート、フルーツキャンディーの3種類があります。シェアする体験は、一人で食べるよりもはるかに幸せなことです。

あやとり人間

あやとり人間

入選者:Nyokki 三谷 悠(デザイナー/東京都出身)、八幡 佑希(デザイナー/千葉県出身)、柿木 大輔(デザイナー/プロダクトマネージャー福井県出身)

ようやく会えた家族や親しい友人と同じ空間を過ごす時、おしゃべりしたい時もある一方で、コミュニケーションは言語だけではない。子どもの頃のように一緒に遊び、おかしくて笑ってしまう時間は楽しい。本提案は親しい人と一緒に挑む巨大なあやとり。ぐっと離れたり近づいたり、リアルな距離感がコロコロ変わりその身体感覚が新鮮。少し先の未来に例えば4世代を超えて、慣れない動きに爆笑しながら、「つながる」時間を提供する。

成長フォント

成長フォント

入選者:髙野 彩乃(アートディレクター/神奈川県出身)

子どもの頃の拙い文字は、成長とともにどんどん変化してしまう。残すべきものは写真だけじゃない。
子どもの手書き文字を、成長と共にフォントで残しておくサービス。

充電端会議

充電端会議

入選者:8000000Studio 馬鳥 智貴(学生/富山県出身)、陳 宇澤(学生/中国福建省出身)

充電という日常的な行為をデザインすることで、人々のつながり方が変わるのではないか。机の上のたこ足配線を眺めていて、そう思った。
置くだけで充電できる丘の他にも、物を置ける細長い谷、大きな盆地、小さな山々……
このシートは、サッと広げることでどこにでも微地形を生み、物たちと人々が集まるきっかけとなる。
ひとときのデジタルデトックス空間で、機器だけでなく私たちの和やかな時間も充電しよう。

総括

今年で16回目となる本デザインコンペは、応募条件と審査基準に基づいて、1,166点の作品が寄せられた。今年は5名の新審査員が、ファッション、デザイン、建築、広告などの各分野から選ばれた。

テーマは「つながり」で、そのもと集まった作品は人と人、人と社会、日本と世界、リアルとバーチャルなど多岐に渡る。表面的な回答ではなく、クリエイターの「意志」が色濃く反映された作品が多数寄せられ、その中には直接的なつながり方を変えるものや、概念や気持ちのつながりを強調する提案も含まれていた。特にプロダクト領域の作品が最も多く、インテリア、サービス、システムのジャンルも例年より増加した。

審査は「デザイン力」「提案力」「テーマの理解力」「受け手の意識」「実現化につながる」の5つの基準で行われ、1次審査で10点、2次審査でグランプリ1点、優秀賞4点、ファイナリスト5点が選ばれた。優秀賞は僅差での議論を経て、規定の3点から4点へと増やされた。上位作品は意匠の優れたものばかりで、小さなきっかけで大きな変化を生む可能性を秘めていた。

2次審査は4年ぶりに対面で行われ、ファイナリスト10組のうち4組が日本以外の国籍で、これに審査員と主催者は国際的な広がりを強く感じた。受賞・入選10作品は、商品化・実現化への期待が高まる実用的なデザインから詩的な提案まで多彩だ。

「TOKYO MIDTOWN AWARD」はこれまでと同様、今回の受賞・入選作については商品化・実現化を目指していくとしている。

TOKYO MIDTOWN AWARD 2023 デザインコンペ結果発表はこちら

Top Image : © Tokyo Midtown Management Co., Ltd.

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