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2023.06.27
知財ニュース
EUがAI生成コンテンツの明示を義務づける、AI規制法案を発表─GoogleやFacebookなどが対象か
EUの欧州議会は2023年6月14日、新たなデジタルサービス法(DSA)のもと、世界初のAI規制法案を賛成多数で採択した。Googleをはじめとするプラットフォーム企業に対し、画像などがAI生成されたものかオリジナルのものなのかをユーザーに明示することを義務づける方針だ。
規制法案は対話型AI「ChatGPT」などの生成AI技術の急速な進化に対応する。生成AIの開発では大量のデータがAIの学習に用いられるが、学習データにおいて、著作権で保護されたデータを取り込んだ場合は開示することを求めるというもの。企業側が生成AIを使った画像や文章であることを明示することを義務付け、生成AIが学習に使った著作物のデータを開示する義務などが盛り込まれた。
大手企業や政府関係者らは、2023年5月から会合を重ね、Web上のコンテンツが人間によるものかAIで生成されたものかユーザーが識別できる環境整備の重要性について協議を重ねてきたという。
今回の規制案は、AIの利用をリスクに応じて4段階に分け、それぞれに規制や義務を課す。最も厳しい「受け入れがたいリスク」に分類されれば、利用禁止となる動きだ。
同法案には、GoogleやFacebook、TikTokといったSNSが対象に含まれるのは確実視されており、今後はEU域内のユーザーに対して、検索結果が本物(オリジナルコンテンツ)なのかAIの合成技術を使用したディープフェイクなのかを、明示区別するよう求められる可能性が高まっているという。
なお、対象となるサービスや、用いられる識別マークは現時点で未定。規制法案に違反すれば、何千万ドルもの巨額の罰金刑が科されることになるが、Twitter社のように、規制への協力を拒否する姿勢を示す企業も現われているという。
今後、欧州の議員で構成する欧州議会、加盟国で構成する欧州理事会、EUの行政執行機関にあたる欧州委員会の3者が協議し、最終的な詳細を決める予定。2023年内の合意を目指しているが、本格的な運用は2026年頃になる見通しだ。
Top Image : © EU