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2023.03.16
知財ニュース
JAXAベンチャー天地人、月面栽培を想定した「月面アスパラガス」を栽培中─2023年春から収穫開始
衛星データを使った土地評価コンサルを行う、JAXA認定の宇宙ベンチャー・株式会社天地人は2022年3月、月面でのアスパラガス栽培を目指す「月面アスパラガス」の苗を植栽したことを発表した。苗は現在順調に生育しており、2023年3月から5月の収穫を予定しているとのこと。
「月面アスパラガス」とは、過酷な月面環境での栽培を目的としたアスパラガス。同社が栽培する、気候変動に対応したブランド米「宇宙ビッグデータ米」の生産などで培った知見を活かし、過酷な月面環境でも通用するアスパラガスの栽培方法を段階的に追求している。また、栽培には農学部に在籍する22〜24歳の現役学生インターン生が参加。農地の探索や栽培管理、収穫まで、神奈川県川崎市の農家に指導を仰ぎながら行っている。
現在の宇宙空間では、栄養価が高く、宇宙で食べやすいようパッケージ化された宇宙食が主流だが、宇宙食は定期的な補給が必要で、時間とともに栄養素が劣化してしまうという課題があった。そこで、不足している栄養素を補い、食事のバラエティを増やす宇宙環境での作物の栽培プロジェクトが世界中で行われている。
アスパラガスは栄養ドリンクに含まれる「アスパラギン酸」や強力な抗酸化物質「ルチン」が豊富に含まれ、生活習慣病の抑制や抗酸化作用が報告されている。そのため、月面で生活する人類の健康維持に貢献できると期待されている。
天地人社の推進する「天地人ファーム」は、気候変動の影響による作物供給の不安定化や農業従事者の高齢化や不足など、世界中の農業が抱える課題を解決するために立ち上げられたプロジェクト。天地人がリリースした土地評価エンジン「天地人コンパス」を活用し、宇宙視点で世界の農業課題の解決に貢献する。
興味を持った企業や飲食店・メディア関係の方には、数量限定で「月面アスパラガス」のサンプルを送付することが可能とのこと。気になる方は、info-compass@tenchijin.co.jp まで連絡してみてはいかがだろうか。
「『宇宙ビッグデータ米』の栽培に宇宙ベンチャーの天地人・農業IoTの笑農和・米卸の神明が着手、2021年中の販売を目指す」(ニュース記事)
Top Image : © 株式会社 天地人