News
2021.05.12
知財ニュース
「宇宙ビッグデータ米」の栽培に宇宙ベンチャーの天地人・農業IoTの笑農和・米卸の神明が着手、2021年中の販売を目指す
JAXA認定の宇宙ベンチャー株式会社天地人は、スマート水田サービス「paditch」(パディッチ)を提供する農業ITスタートアップ笑農和(エノワ)、米卸大手の神明と協業し、「宇宙ビッグデータ米」の栽培に着手すると発表した。
天地人は、JAXA職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立した宇宙ベンチャー。地球観測衛星のデータを活用した天地人の土地評価エンジン『天地人コンパス』を使い、衛星データからビニールハウス内の作物に対する日射量を推定するなど農業に関わるプロジェクトを行なっている。
日本の農業は、生産者の高齢化、減少にともない、今後の供給力への懸念が叫ばれており、農林水産省が行った調査では、農業就業人口は2020年に136.1万人。この減少は今後も続いていくことが予想され、天地人・神明・笑農和の3社は、将来的な米の生産増につながる農業施策として、宇宙の技術を活用した農業を確立するプロジェクトとして「宇宙ビッグデータ米」を立ち上げた。
「宇宙ビッグデータ米」は、3社の強みを活かした取り組みとなっており、以下の特徴がある。
①地球観測衛星のデータを活用した天地人の土地評価エンジン「天地人コンパス」を活用し、美味しい米の収穫や多くの収穫量が見込める圃場を見つける。
②最適な圃場を見つけたら、笑農和が提供するスマート水田サービス「paditch(パディッチ)」を活用し、適正な水温・水量を維持する事でより美味しい米をより多く栽培する。
③収穫した米を、神明の直営店『米処 穂』にて販売。
「宇宙ビッグデータ米」は、2021年5月の田植え、9月の収穫を経て、年内には販売開始を見込んでいる。
■「宇宙ビッグデータ米」の狙い
「宇宙ビッグデータ米」は、「気候変動に対応したブランド米をつくる」ことをひとつの目的としています。そのため同タイミング同地域で、『天地人コンパス』を使い見つけた圃場に『paditch(パディッチ)』などICTテクノロジーを活用する方式と、これまで通りの方式で栽培を行い、食味や収量などの比較を行う予定です。
近年の地球温暖化によって「高温障害」が多発しており、お米の外観品質の劣化と食味の低下が懸念されています。我々はこの問題に関して、圃場選びや水の管理で回避できると考えており、今回の栽培方法が有効かを実証していきます。(プレスリリースより)
天地人と神明は、2019年12月に宇宙技術を活用した農業の確立を目的とする業務提携契約を締結しており、その時には既に「宇宙ビッグデータ米」の構想があったようだ。
宇宙技術と農業IoTを掛け合わせ栽培されたブランド米——どこか壮大な気もするが、近い将来、私たちの食卓に欠かせない存在になるかもしれない。
■株式会社 天地人
https://tenchijin.co.jp/
■株式会社 神明
https://www.akafuji.co.jp/
■株式会社 笑農和
hthttps://enowa.jp/