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2025.09.03
知財ニュース
小児がんに挑むVRリハビリ、日本電子×岡山大学が開発―東京ゲームショウ2025で初公開

日本電子専門学校は、岡山大学長谷井嬢教授と共同で、小児がん患者のためのVRリハビリテーションプログラムを開発した。同プロジェクトは、小児がん治療に伴う長期入院で生じる筋力低下や精神的ストレスに着目し、患者の身体的・心理的負担を軽減してリハビリへの意欲を高めることを目指している。
開発には、日本電子専門学校のゲーム制作科、アニメーション科、コンピュータグラフィックス科など複数の学科の学生が参加。ゲーム制作の専門技術と岡山大学が提示する臨床現場のニーズを融合させ、「楽しく続けられるリハビリ」の実現に取り組んだ。
リハリビは小児がん患者にとって不可欠だが、痛みや入院生活のストレスから継続が難しい場合がある。同プログラムはその課題を解決し、前向きにリハビリに取り組める環境を提供することを目標としている。
今回のVRコンテンツは、2025年9月に開催予定の「東京ゲームショウ2025」の新設エリア「オールアクセシビリティーコーナー」で初めて公開される予定。
コンテンツは2種類あり、一つは腕を上げる動作でVR空間で魔法を発動させる「魔法使いコンテンツ」。モーションセンサーが動作を正確に認識し、ゲーム要素で反復運動を楽しく促していく。もう一つは、自転車エルゴメーターと連携して仮想空間をサイクリングする「自転車コンテンツ」で、風景の変化やスピード表示により没入感を高め、目標を持ってリハビリに取り組めるよう設計されているという。
両コンテンツともに、患者一人ひとりの状態に合わせて運動負荷や感度を細かく調整できる機能や、トレーニングデータを可視化する機能を備えており、安全で効果的なリハビリを実現した。
日本電子専門学校は、「ゲームの力で社会課題を解決する」というテーマのもと、単なるエンターテインメントを超えた「役立つゲーム」の開発に取り組んでおり、今回の共同研究は医療現場のニーズに基づき、学生と教員が協力して社会実装に向けたプロトタイプを具体化する貴重な機会となった。今後も技術力と創造性を活かし、誰もが笑顔になれるゲーム作りを通じて社会に貢献していく方針だ。
Top Image : © 学校法人 電子学園