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2023.08.21
知財ニュース
岩谷技研、ガス気球の有人飛行試験で過去最高の到達高度6,072mを達成─次回は成層圏へ

気球による宇宙遊覧を目指す宇宙開発企業、岩谷技研は2023年7月23日、北海道新得町で高度6,000m越えを目標とした有人飛行試験を実施し、最大到達高度6,072m、飛行距離26.35km、飛行時間131分を達成した。
同社では2016年の設立以来、気球を使った宇宙開発に挑戦。“気球による宇宙遊覧”を目標に、高高度気球と気密キャビンの設計・開発や飛行試験をほぼ毎月実施しており、今年2月には宇宙の民主化」を実現する共創プロジェクト「OPEN UNIVERSE PROJECT」の始動を発表している。
同社では、昨年2月の高度30mの有人係留飛行試験の成功以来、35名以上の所員が実験キャビンに搭乗し、飛行訓練と実証データの収集・蓄積を実施。今回の実験では、酸素、二酸化炭素、水蒸気量など内部空間の空気成分をコントロールできる生命維持装置を搭載した新型のT-9気密キャビンを使用した。
通常、高度4,000mを超えると生身での呼吸ができなくなるが、内部の気圧を一定に維持することで、高度6,000m超えでも内部環境を適切に維持し、帰還した。
なお、今回の実験では、最大到達高度6,072m、飛行距離26.35km、飛行時間131分を達成。視界を遮るほどの霧により打ち上げを1時間順延したものの、天候回復以降は順調に飛行を続け、パイロットが操縦するT-9キャビンは目標高度6,000mに到達したのち打ち上げ場所から26km先の平原に帰還したという。
同社によると、今回の実験は最終目標の高度25kmへの飛行に必要不可欠な技術検証ができた初試験であり、大きなマイルストーン達成となったとのこと。今後は、8月中に高度12,000m(成層圏)への到達を計画している。
「岩谷技研、気球による“宇宙遊覧”を実現するプロジェクト始動」(ニュース記事)
Top Image : © 株式会社 岩谷技研