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2025.07.08
知財ニュース
田んぼ不要、無農薬で年6回収穫できる「みずのゆめ稲」を開発

兵庫県の株式会社あゆちは、完全無農薬・多段式・短期収穫を可能にする水耕栽培技術を開発し、新品種「みずのゆめ稲」によるコメの生産に成功したと発表した。、狭小空間でも高密度かつ無農薬で、最大年6回の収穫(6期作)を目指せる「高密度栽培」が可能だという。
「みずのゆめ稲」は、同社が長年にわたり育種・研究を重ねてきた、草丈15~20cm・栽培期間約2ヶ月の超矮性・早生品種だ(品種登録出願中)。この特性により、野菜のような多段式の水耕栽培が可能となり、狭小空間でも高密度かつ無農薬で、最大年6回の収穫(6期作)を目指すことができる。
今回の実証では、閉鎖型施設内において、独自設計の栽培槽・LED照明・液肥配合を活用し、農薬を一切使わず安定した育成と収穫を実現した。従来の「田んぼ」に依存しないこの技術は、災害・気候変動・インフラ未整備・戦時下など、さまざまな不安定な環境下、従来の稲作が困難だった地域でも稲作を可能にし、世界的な食料問題に対応する「田んぼ不要」の新たな主食生産モデルとして注目されている。
本品種は、「宇宙ステーションでも米を育てたい」という想いから誕生した品種で、土壌に依存せず、水耕栽培によって、砂漠や寒冷地だけでなく、さらには宇宙空間でも栽培が可能なのだという。
また、高齢化や耕作放棄地の増加、気候変動といった国内外の農業課題に対し、持続可能な「主食のインフラ」としての役割が期待されており、農業の構造転換にも貢献できる可能性がある。完全無農薬で栽培できる点は、環境負荷の低減や健康志向の高まりといった社会的ニーズにも合致しており、これからの食料供給のあり方に新たな選択肢を提示するものだ。
同社は今後、さらなる栽培の安定化と量産体制の構築に取り組むとともに、気候変動や世界的な食料問題の解決に貢献する技術としての社会実装を進めていく。また、本技術に関心を持つ企業・研究機関・自治体との連携についても、積極的に検討している。
Top Image : © 株式会社 あゆち