News
2024.05.22
知財ニュース
世界43カ国からグローバルスタートアップが集う、SusHi Tech Challenge 2024結果発表

SuShi Tech Tokyo内におけるピッチコンペティション「SuShi Tech Challenge」の最終結果が発表。2024年は世界43ヶ国の507社からエントリーがあり、決勝戦には7社が残った。
このコンペティションは、サステナブルな社会の実現に向け、世界中からスタートアップが集い、総額1000万円の賞金をかけて行われた。本記事では、決勝に残った7社のピッチの内容を紹介する。
優勝したのは日本のFermenstation(株式会社ファーメンステーション)だ。Fermenstationは、食品残渣を発酵させ、食品素材や化粧品原料に変換するバイオプロセスのプラットフォームを構築している。例えばコーヒー粕からバニラフレーバーを生成するなど、付加価値の高い製品開発に注力している。同社は自社工場と生産ラインを保有し、国際認証も取得済みだ。既に大手食品メーカーと共同で商用生産に取り組んでおり、海外展開も視野に入れている。
次に紹介するのはマレーシアのEntomal Biotechである。黒色の昆虫「クローバー幼虫」を利用し、食品残渣を家畜の飼料や肥料に変換する廃棄物処理ソリューションを提案した。分散型の小規模コンテナから大規模な中央バイオ廃棄物変換プラントまで、多様なフードチェーンに導入可能な技術を開発。既にマレーシアでモデルプラントを立ち上げ、世界最大のバーム製造業者とも連携している。
日本のCool Innovationは、水冷方式によって低温多湿の環境を作り出し、果物や野菜の鮮度を長期間保つ技術を発表。実物サンプルとして、26日間鮮度を保ったいちごを紹介し、食品ロス削減とエネルギー消費の大幅な削減をアピールした。この技術は既に複数の国で導入されており、トラック用ソリューションも視野に入れている。
ベトナムのBUYO Bioplasticsは、バイオマス由来のバイオプラスチックを製造する発酵プロセスを提示した。耐熱性や耐候性に優れ、一般的なプラスチックとほとんど同等の性能を持つ新素材を開発し、既存のプラスチック製品に代わる環境に優しいソリューションを提案。大手食品メーカーとも協業を進め、ペットボトルなど既存ライン製品への展開を目指している。
台湾のCancerFree Biotechは、患者個別に最適化されたがん治療法を提供する企業である。患者の血液サンプルからがん細胞を培養し、複数の治療薬をテストして最も効果的な薬剤を特定する技術を持つ。既に46000人以上のがん患者に治療法を提案しており、新薬の臨床前テストサービスも提供している。
シンガポールのe-Portは、港湾運営のデジタル化とサービス最適化を担うプラットフォームを開発した。予約や領収書の処理が紙ベースで行われていた従来の業務工程の全てをデジタル化し、関係者をAPIで連携させることでリアルタイムでデータを共有する環境を実現。既に25%の排出量削減に成功している。
最後に、日本のDegasはアフリカの小規模農家に資金と技術的支援を提供するプラットフォームを展開する企業だ。肥料などを農家に融資し、営農指導も行うことで生産性の向上を図っている。収穫後は現物で返済を受け、農産物をコモディティとして企業に売却する新しいビジネスモデルを構築した。衛星映像とAIを用いた地理空間モデルで農地のモニタリングと最適化支援も行なっている。
Top Image : © SusHi Tech Tokyo 2024