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2024.12.04

知財ニュース

伊豆大島「キョン」の殺処分をジビエへ転換、19歳猟師の地域復興プロジェクト始動

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現在19歳の猟師・河原晴馬氏が、伊豆大島で外来生物「キョン」を地域資源として活用する挑戦を続けている。河原氏は、キョンによる農作物被害や生態系破壊を解決するため、キョンの肉をジビエとして活用するプロジェクトを立ち上げ、現在クラウドファンディングで支援を募っている。

キョンの命をジビエとして活用する クラウドファンディングページ

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キョン(シカ科ホエジカ属に分類されるシカの一種)は中国や台湾を原産とする特定外来生物で、伊豆大島では約18,000頭が生息し、農業や自然環境に深刻な影響を及ぼしている。年間約6,000頭が駆除されているが、そのほとんどが焼却処分されている。この現状を変えたいと、河原氏はこのプロジェクトを通じてキョンをジビエとして有効活用することで、生態系への被害を抑えながら、大島産の新たな食肉資源の創出を目指す。

プロジェクトでは、冷蔵設備や施設改装費用の資金を集め、キョン肉を地域の新たな特産品としてブランド化し、観光や地域経済の活性化につなげることを目指している。

animals plants$kyon.files$R5 chirashi 引用元: https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/animals_plants-kyon-files-r5_chirashi

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河原氏がこの挑戦に踏み切った背景には、彼自身の経験がある。高校生の頃から「人々の暮らし」に興味を持ち、地方や離島を訪問してきた彼は、伊豆大島を初めて訪れた際、島の課題や未来に真剣に向き合う人々と出会い、大きな影響を受けたという。その後、知財図鑑のインターンとして経験を積みながら、自らの手で地域課題に取り組みたいという思いを強め、島での活動を決意。遂には東京諸島・伊豆大島の独特な存在感の正体に興味を持ち、伊豆大島に引っ越しを決めた。

伊豆大島に住み始め、島の課題解決に貢献するためのスキルを磨いた。通信制高校を卒業後、千葉県で狩猟の技術を学び、2024年に狩猟免許を取得。同年9月、伊豆大島に戻り「伊豆大島ジビエ」を開業した。

3f6c6e7361e3b4c01af68e65936fe6c7 河原晴馬氏

キョン肉は柔らかく香り豊かなジビエとして高いポテンシャルを持つが、流通量が少なく希少だ。このプロジェクトでは、伊豆大島産のキョン肉を支援者向けリターンとして提供するほか、狩猟体験イベントも実施予定だ。さらに、キョンを活用した土産品や料理を開発し、大島の新たな魅力を創出する計画も進められている。

プロジェクトの進捗も好調で、クラウドファンディング公開から24時間で目標金額を達成。その後も支援が続き、現在はネクストゴールとしてさらに多くの資金獲得を目指している。プロジェクト成功により、キョンの駆除処分に新たな価値を見出し、地域経済の活性化や観光資源の創出が期待されている。

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元インターン生として知財図鑑で培った視点を生かし、地域課題を「資源」として捉え直す河原氏の挑戦は、地域の未来を切り拓く新たなモデルケースとなり得る。彼の活動を応援し、キョン問題の解決と地域の新たな価値創出に貢献するプロジェクトを支援してみてはいかがだろうか。

キョンの命をジビエとして活用する クラウドファンディングページ

河原晴馬氏のプロジェクトを応援する(CAMPFIRE)

19歳猟師の伊豆大島キョン専門ジビエ屋開業プロジェクト  CAMPFIREにて公開1日で目標金額を達成(プレスリリース)

キョンの推定生息数(令和2年末)について(東京都)

Top Image : © 伊豆大島 ジビエ

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