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2023.07.11

レポート

知財図鑑インターン生が語る、DAOから生まれるネットワークとAI活用の新しい波

インターン生座談会アイキャッチ

DAO(自律分散型組織)とAIがもたらす新たな働き方の波が到来し、17歳から24歳までの知財図鑑のインターンたちは、その最先端を行くZ世代の代表として活躍している。彼らはDAO的なネットワークを通じて出会い、AIを使った革新的な働き方を実践。

本記事では、彼らがどのように自分にとって最適な働き方を追求し、未来のビジョンに向けて挑戦しているかを探っていく。聞き手は知財図鑑の共同代表である出村光世と荒井亮が務めた。

Web3と出会い、DAOから繋がったストーリー

荒井:今日は宜しくお願いします。まず、皆さんの経歴を聞かせてくれるかな。年長の石川くんはもともと芸人をやっていたんだよね?

インターン生座談会-イッツさん

石川樹(以後、イッツ):そうなんです。高校2年から大学4年まで、幼稚園の幼馴染と芸人をやっていて、その傍らでサイドビジネスとしてフリーライターを始めました。フリーライター時代にNFT関連の記事を書いた事がきっかけで、Web3の世界と出会ったんです。
知財図鑑の荒井さんとは2022年の6月にニューヨークで開催されたNFTのカンファレンスでお会いしました。荒井さんとイベント中一緒に過ごした後、日本に帰ってきてから知財図鑑のインターンをさせていただいています。また、インターンを始めてから様々なweb3関連イベントに参加する中で、カイ君と出会いました。

インターン生座談会-kaiさん

荒井:今の流れでカイくんの事についても教えてくれる?

司東海秀(以後、カイ):19歳の司東海秀といいます。もともと岩手出身でずっと地元にいたのですが、海外留学をしたかったので、高校生の時に東京のインターナショナルスクールに入学させてもらいました。そして、上京したタイミングで自分の会社を始めました。

出村:学生起業なんだね、どんな事業だったの?

カイ:当時お父さんがラーメン屋さんをやっていて、そのラーメンを居酒屋に卸すという、すごいシンプルな事業をスモールに始めました。でも上手くいかなくて、事業自体は一回閉じて岩手に戻ったのですが、もう1回チャレンジしようと再び東京に出てきたんです。それで、家がなくて苦しかった時に、イッツさんに出会って神楽坂の「Roopt DAO(※)」と荒井さんを紹介して頂いてインターンを始めました。

Roopt DAO:神楽坂にあるDAO型シェアハウス。家賃として利用できるNFTの保有者が、シェアハウスの運営方針などを話し合い、自律的に運営している。


イッツ:その当時、カイくんは激狭のカプセルホテルみたいな所に暮らしてたんですよ。それで流石に可哀想だなと思って、僕がたまたま持っていたRoopt DAOのNFTをカイくんに渡して、Roopt DAOに住んでもらいました(笑)。

荒井:そんな出会いだったんだ(笑)。今も事業は継続してるの?

カイ:同じシェアハウスに住んでる方と、新しく別の事業を始めました。「ChatGPT研究所」という、ChatGPTに関する情報を発信するメディアを運営していたり、AI関連の事業を作ろうとしています。メディアの方は広告やアフィリエイトではなく、例えば「LINE Botの作り方」といった有料記事を売っていまして、それがかなり売れています。

荒井:AIをそういった形で仕事に結びつけているのは素晴らしいね。では、最年少の17歳で現役高校生でもある晴馬くんの事についても聞かせてください。

河原晴馬(以後、晴馬):兵庫出身の河原晴馬です。3月頃に上京してRoopt DAOに住み始めました。堀江貴文さんがやっている「ゼロ高等学院(ZERO高)」という通信制の学校に通っています。上京してからバイト生活をしていたのですが、漠然と過ごしていることに危機感を持ちました。そこでRoopt DAOで一緒になったカイさんに知財図鑑のインターンを紹介して頂き、働かせていただいています。他にも、このRoopt DAOのコミュニティの中で次のシェアハウスを作るプロジェクトにも参画中です。

インターン生座談会-河原

荒井:この場所に来たのも、そもそもDAOに興味があったんだよね? どんなビジョンを持って活動しているの?

晴馬:そうです。「ZERO高」に転学してから、複数のシェアハウスに住んだり、バックパッカーのような生活をしていました。その中で住まいの選択肢が多いって素敵だなと感じたんです。現代の社会に住まいの選択肢を増やして、多くの人が生き生きと自由に生きれたら良いなというビジョンのもと活動しています。
DAO型シェアハウスというのは「入居者 vs オーナー / 管理会社」といった構図ではなく、DAOのシステムの中でみんな平等に住まいに関わっていく形態のシェアハウスなんですよね。入居者やオーナーが並列した立場にあるので、例えば、家賃の30%が予算に割り当てられていて、それをDAOメンバーで使い道を議論して決定しています。

一歩目を踏み出す彼らのビジョン

荒井:イッツくんは知財図鑑だけじゃなくて、他にも幅広い活動をしてるんだよね?

イッツ:はい、株式会社SHINSEKAI Technologiesが運営している「シンセカイDAO」関連のプロジェクトでAIを使ったクリエイティブ支援をしたり、「NFT×音楽」というテーマでトークセッションにも登壇させていただいたりしました。少し領域が離れますが、社会人サークルのマッチングアプリ『つなげーと』のマーケティングなど、色々なチャレンジをさせていただいています。

荒井:今はリアルのコミュニティに興味が移ってきたという感じだよね。

イッツ : そうですね。現代は1人1台スマホを持てる時代になって、リアルのコミュニケーションがどんどん減っていると思うんですよ。でも人間の幸せって、人との交流や心の繋がりのような、精神的な部分の充実が最も幸福度を高めると思っています。そういった「人と人との繋がりを通して人を幸せにする」というビジョンを持って活動しています。

コミュニケーションに関しては、デジタルだとまだ限界があるなと感じています。今のオンラインの主流はテキストやボイスチャット、ビデオ通話ぐらいですよね。オンラインだと人の熱量や想いって伝わりにくいと思うので、僕はオフラインを重視しています。現実だからこそ伝わる人の愛だったり、エモーショナルな部分があると思うので、そこは揺らがずに進んでいきたいと思っています。

出村:カイ君は、今AIの領域で活動してる中で、今の活動につながってる原点って何だと思う?

カイ : もともと父も母も経営者の家系で、経営というものが身近だったので、自分も将来は会社を興すんだろうなってビジョンはありました。それで孫正義さんの動画を見たり、海外留学や海外で経営の勉強したいと思って、色々と行動し始めたのが原点ですね。
AI関連の事業では、コンテンツ大国である日本の良さをAIで伝えたいと思っています。例えば、ChatGPTを使って『スラムダンク』の桜木花道と会話ができたら面白いですよね。僕たちがやりたいと考えているのは、好きなキャラクターとどんな会話でもできるサービスで、IPとAIの組み合わせみたいな感じになります。
それと実は大谷翔平さんと地元が同じで、世界で活躍している彼を世界中の人が愛している所を見ると、すごく素敵だなと思うじゃないですか。それと同じように日本のIPが世界でもっと活躍している姿が見てみたいですね。

出村:お話を聞いていて、やっぱりみんな独立志向があるなと感じたんだけど、一攫千金とかのモチベーションはあったりする?

イッツ:お金も大大大好きですが、世界を良くする事にもフォーカスしたいです。お金は何か交換する手段としての側面も強いと思うので、大切でありがたいお金を何のために使うのか、しっかり意識したいですね。

カイ:僕はお金がなくて苦しい時期もあったので、お金が欲しいと思っています(笑)。ただ、僕はお金があっても働くだろうと思っています。働く事の意味はお金を稼ぐだけではなく、人格を育てる事にもあると感じていて。仕事を通してまだまだ自分の未熟な部分を知れるなと感じています。

晴馬:僕もお金が欲しいですね。でも、Roopt DAOのようなDAO型シェアハウスを増やす理由は素敵な社会を作るためで、そこでお金をたくさん稼ぐのはなかなか難しい所があります。なので18〜19歳くらいは生活コストを下げて節約生活に満足できる人間になりたいと考えています。将来的には一泊数百万円するリゾートホテルとかで豪遊もしてみたいですね(笑)

インターン生座談会-kai、河原

AIと共創するクリエイティブな未来の社会に向けて

出村:今後たくさんのチャレンジをしていく中で、急速に発展するAIとの付き合い方をみんなに聞いてみたいかな。

カイ:AIで言うと、昨日までが「江戸時代」で、今日やっと「令和」になったと思ったら、次の日にはそこがまた江戸時代になっているかのような感覚です。この変化によって、人の存在や働き方が大きく変わってくると考えています。

理解が追いつかないほどの変化の速さですが、だからこそワクワクする面もあります。若い人たちは面白いと思えるかもしれませんが、自分が何をすべきか分からなくなる人も増えると思います。今後AIとどのように向き合っていくかは僕にとっても重要な事です。

イッツ:AIはいずれ感情を持ち、人間と同じように暮らすと思いますし、「AIにも人権を与えるべき」と主張し始める人も出てくるはずです。また、AIは心がまだ成長段階にある人間の真似をして、悪口を言ってしまうような性格を持つ事もあるでしょうが、そういったAIも救わなければならないと思っています。

晴馬:僕は画像生成AIを使って、知財図鑑の記事の画像を出力をしています。これはAIを使えれば経験がなくても仕事ができる事を意味します。つまり、好きだったり興味のある分野が見つかったらすぐにお金稼ぎができるという事です。この事から、興味や関心を突き詰めていくための先生みたいな関係が、今後のAIと人間の付き合い方だと自分は考えています。

あと、かなり先だとポケモンのピカチュウとサトシみたいな関係性で、その人に寄り添って一緒に成長していける親友とか相棒みたいな存在のAIが出てきたらなと思います。未来の社会では、AIと人間が一緒に楽しくやってる世界が素敵だなと。

荒井:では、最後にみんながインターンで得た経験について教えてください。

イッツ : 色々な恩恵を受けたと思っていて、例えば「NEO TOKYO PUNKS」というNFTコレクションと「CryptoBar P2P」のコラボイベントですね。その時与えられたミッションは、「バーでひたすら人とコミュニケーションを取る事」だったんです。もともと人とのコミュニケーションは好きだったのですが、実際に仕事としてバーに行ってみて、もっとコミュニケーション能力を高められるなと感じて、自分の足りない部分に気が付きました。そこでNFT界隈のオフラインの繋がりに対しての熱量を感じて、今の自分のアクションに影響していると思います。

カイ : 振り返ってみて、2つのポイントがあると思います。1つ目は、本当に知財図鑑と出会ってなかったら人生が変わっていたなということ(笑)。実は体力仕事や夜の仕事なども考えた時期もあったので、やっぱり出会いに感謝ですね。

もう1つは、知財図鑑がクリエイティブな環境である事。知財図鑑のオフィスに何回かお邪魔させていただいたりしたのですが、皆さんそれぞれ作りたいものを自分の業務の間に作ってるんですよ。ある時、知財の使い方をアイディエーションする会で、初めてChatGPTを使ったアイデアを出しました。その時に荒井さんがいいねって褒めてくださったんですが、そういったアイデアが出たのも、周りにクリエイティブな人たちがいたからこそだと思います。本当に感謝しています。

晴馬 : 自分も2つあって、まず何のあてもなく東京に出てきた自分に挑戦する環境を作ってくださったカイさんと、荒井さんとの出会いに感謝しています。もう一つは、知財図鑑にいるからこそ、AIがどのように社会に実装されるのかという事について、一段高い視座で見ることができていると感じる事です。知財図鑑のメディアのAI化に関われているからこそ、AIという次のビックウェーブに対して高い目線で向き合えていると思います。

インターン生座談会-出村さん荒井さん


出村:今のお話を聞いて、1つお願いがあって。僕と友達になってください(笑) 知財図鑑は22世紀をいかにハッピーな未来にするかに照準をあわせていて。これからより大きな事をやっていくためには、強い好奇心や負けず嫌い精神を持った皆さんのような人が大事になってくると思っているので。なので、今度はみなさんでご飯行きましょう!!

▼インターン生たちと話してみて

荒井:昨日が江戸時代だったかのような変化の速さを、ポジティブに使いこなしている彼らからは大いに学ぶところがありましたね。知財図鑑というメディア運営をとっても、これまで記事を作るペースを上げるには編集者やライターの人数を増やすしか手段はありませんでした。ですが、AIを使えば、逆に編集部をシュリンクしても記事の量を何倍にもする事ができます。その代わり、DAOのようなネットワークで編集部機能を運用していく、そういった未来に希望を感じました。

出村 : もともと知財図鑑は「人間の知が有効活用されていない」という大きいイシューから立ち上げられました。知財の百科事典を作ると言って、今は800近くの知財紹介記事が作られて、多くの人に継続的に見ていただいています。これからは記事の数を100〜1000倍に増やそうと思っていて、そうなった時に僕ら人間が「コンテンツの量が100倍になった時に社会にどんないい事が起こるでしょう」って事を考えないといけない。
でも、考えてからやるのは遅いなと思っていて、とにかく増やす分は増やす。そして記事が増えた事にどんなメリットがあるのか分析する。そういうときに、彼らのような世代のひとたちと何かやれると面白いんじゃないかなって思っています。

インターン生座談会-集合写真

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