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2022.01.28

知財ニュース

秋田高専、再生水で水稲栽培―酒造好適米を栽培し特別限定醸造酒に

秋田高専、下水再生水活用2

秋田工業高等専門学校は、SDGsの達成に寄与する地域資源循環型の水稲栽培手法の技術開発と社会実装を目的として、下水道資源を活用した水稲栽培の大規模実証試験を開始した。

この実証実験は、化学肥料を使わずに地域産資源である下水再生水を肥料として活用し水稲を栽培するというもの。

生物処理や消毒を施された下水再生水は、窒素、リン、カリウムなど、農作物の栄養となる成分が含まれる安全で有用な資源であるが、未利用のまま放流され、有効利用が進んでいない。また、これらの成分は栄養塩と呼ばれ、水中濃度が上がりすぎるとアオコや赤潮のような植物プランクトンの異常繁殖を引き起こし、生態系に悪影響を及ぼすため、下水処理場では必要に応じてエネルギーをかけ、こうした栄養塩の除去を行っているという。

そこで本研究では、浄化処理が施された安全な水である再生水に含まれる栄養塩を、農作物の代替肥料として活用することで、下水処理の観点からは栄養塩除去エネルギーの削減と水環境の保全、農業の観点からは肥料供給が不要となるため、自立型・地域資源循環型の農業構築を可能にするという。

また、秋田高専では、化学肥料を使わずに下水再生水を肥料として栽培した酒造好適米を利用して、地元酒蔵とのコラボレーションにより、高専発の特別純米吟醸酒を醸造する。地域産資源の特別限定醸造酒として付加価値を高め、環境配慮型清酒としてのブランディングを目指すという。令和3年度末のお披露目を予定しているとのことだ。

自立型・地域資源循環型の農業構築のみならず、学生の持続可能な技術開発に関する理解や、第一次産業による地域発のイノベーションの推進にもつながり、地域の活性化に貢献する研究としても期待が高まる。

秋田高専、下水道資源活用1

秋田高専、下水再生水活用3

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Top Image : © 独立行政法人国立高等専門学校機構

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