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2023.03.09
知財ニュース
NTTとリージョナルフィッシュ、藻類と魚介類へのゲノム編集技術で海洋中のCO2を低減させる実証実験を開始
日本電信電話株式会社(以下NTT)とリージョナルフィッシュ株式会社は、藻類と魚介類にゲノム編集技術を適用し、海洋中の二酸化炭素量を低減させる技術の実証実験を開始した。
実証実験では、藻類の二酸化炭素固定量を最大にする遺伝子や魚介類への給餌に適した培養条件を明らかにし、魚介類でも筋肉や骨、貝殻などの二酸化炭素固定量を最大にするゲノム編集方法や育種方法を検討する。さらに、藻類と魚介類への二酸化炭素固定量の評価方法を確立する検討も進めた。
『気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書』では、海洋からの二酸化炭素排出量は地球全体の33.7%であり、大気中からの二酸化炭素吸収量は地球全体の34.6%を占めるとされている。そのため、海洋の二酸化炭素排出量を減少させ、吸収量を増加させる技術は、地球上の二酸化炭素削減の有効な手段と考えられている。
しかし、藻類と魚介類は、近年の二酸化炭素量の増加に伴い、現状以上の二酸化炭素量を低減できない状態になっている。そこで、NTTでは藻類の、リージョナルフィッシュでは魚介類の二酸化炭素固定量を増加させるゲノム編集技術の研究開発を推進してきた。
なお、本技術を適用した生物は、生物多様性への悪影響を未然防止する法律(カルタヘナ法)の適用により、実環境へ放出せず、陸上養殖プラットフォームの中でのみ飼育される。これにより、海洋生物へ影響を与えることなく海洋中の二酸化炭素量のみを効率的に低減できるという。
なお、本技術の開発は、環境負荷ゼロと経済成長を同時実現する新たな環境エネルギービジョン 「NTT Green Innovation toward 2040」の実現に向けた取り組み。両社は、本技術を魚類や農作物の生産量増や高品質化にも適用することで、温室効果ガスの排出、実質ゼロに貢献することを目指すという。
Top Image : © 日本電信電話 株式会社