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2022.12.20
知財ニュース
イーロン・マスクのニューラリンク社、脳埋め込みチップの進捗発表─「念」で文字入力や歩行支援、半年以内に実装目指す
2016年7月にイーロン・マスク氏によって設立された米・ニューラリンク(Neuralink)は、現地時間2022年11月30日に人材採用を目的としたオンラインイベントにて、脳埋め込みデバイスによる視覚障がい者の視覚支援と、脊髄損傷患者の歩行支援についての進捗を発表した。人間の臨床試験の申請書類を米食品医薬品局(FDA)に提出済みで、6カ月以内の開始を目指すと述べた。
ニューラリンク社は、数千本もの柔軟な電極を神経インプラントとして脳表面に埋め込み、動物の脳の外側表面や脊髄に埋め込むことで、脳波などを利用してコンピューターを操作したり、コンピューターから刺激を送ることで、感覚器を介さずに人に視覚や味覚を与える技術・BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)技術の開発を行っている。各電極はマイクロファイバーで、25セント硬貨サイズのチップ「N1インプラント」に接続されている。
このたび発表された最新情報は大きく2つ。
①思考で文字を入力
脳に電極を埋め込まれたサルが、仮想キーボード上のプロンプトに従い、思考で文字を入力する。また、サルをフルーツスムージーでおびき寄せ、充電器を埋め込んだ枝の真下に座らせることで充電も可能。ほかにも、思考だけでできる卓球ゲーム「ポン」をプレイする実験の様子も映された。
②脊髄への電気信号による四肢の制御
ブタの脊髄に電極を埋め込み、足の動きを制御。最終的に、四肢麻痺患者による歩行や手の使用の支援につながるとしている。脳の運動指令を傍受して足に伝達する役割をするだけでなく、四肢からの感覚信号を取得し脳に送り返すことにより、何が起きているかを脳が把握できるようにするとのこと。
イーロン・マスク氏によると、実現されれば、「外の世界とのインターフェースを持たない人が、手を動かせる人よりも器用にスマートフォンを操作できるようになる」とのこと。今後の展開が期待される。
Top Image : © Neuralink