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2022.11.29
知財ニュース
最も美しい俳句は「ヒトとAIが共作した俳句」―京都大学が比較実験を実施
京都大学人と社会の未来研究院の研究チームは、AIによる俳句と、俳人による俳句、AIと人間が共作した俳句の美しさを比較する実証実験を実施した。その結果、AIと人間が共作した俳句が最も美しいと評価されたことを発表した。
MidjourneyやStable Diffusionなど、近年目覚ましい発展を遂げている画像生成AI。しかし、詩や俳句などの文学では、絵画や写真などの視覚芸術に比べ、まだ発展途上にあるとされている。
そこで研究グループでは、世界最短の詩である俳句を題材に、人間作俳句と、AI作俳句の美しさを比較する実証実験を実施。制作に人間が介入しないAI作の作品(Human out of the loop:HOTL)と、制作に人間が介入するAI作の作品(Human in the loop:HITL)それぞれ20句と、歳時記に掲載されている人間作俳句40句を385名に評価してもらった。
その結果、制作に人間が介入するAI作の作品(HITL俳句)が最も美しいと評価され、人間作とHOTL俳句の評価は同等だった。また、実験では、評価者が俳句の作者が人間かAIか見抜けず、AIが作ったと思われる俳句ほど美の評価を下げてしまう「アルゴリズム嫌悪」と呼ばれる現象も確認された。
本研究により、俳句でもAIが人間の創造性に匹敵しつつあることや、AI芸術に対する人々が持つ潜在的な価値観、AIとの共作でよりクリエイティブな作品を生み出せる可能性が示唆された。研究グループでは、このような知見が社会に浸透することで、AIを過度に嫌悪している人々が評価を見直し、人間とAIが調和できるのではないかと期待を寄せている。
Top Image : © 京都大学 人と社会の未来研究院