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2024.09.18
知財ニュース
信州大学、人工光合成実証へ―長野に世界最大の施設を2025年建設
信州大学は、人工光合成の実用化に向け、大規模な実証を開始することがわかった。2025年度に、長野県飯田市に従来の30倍で世界最大級の実証施設を作るとのことだ。
太陽光エネルギーの有効利用は、人類の喫緊のエネルギー・環境問題の解決に必須であると言われている。一方、太陽光は地域・時間・季節による変動が大きく、時間的・空間的に大きなスケールでの貯蔵・輸送には不向きという欠点もあるのだという。そうした課題を解決するため、信州大学では、太陽光と水のみから、水素という貯蔵・輸送に有利な化学エネルギーを得ることが出来る「人工光合成系」を構築し、化石資源に依存しない真にクリーンで持続可能なエネルギーシステムを研究している。
現在、化石燃料に替わるエネルギーとして、利用時にCO2を排出しないグリーン水素エネルギーが注目されており、水素コスト削減に向けて、水素の供給量の拡大や、インフラ整備に資する取組を推進する必要が叫ばれている。
これらの問題を解決するため、信州大学は、「アクア・リジェネレーション(ARG)」事業を立ち上げ、文部科学省も「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」を通して信州大学を支援している。2024年8月には盛山大臣が、「アクア・リジェネレーション機構」の取り組みを視察している。
光触媒シートによる水分解反応 c 2016, Springer Nature,c 2017 Elsevier B.V.
太陽光スペクトル(左軸)と各種光触媒の光吸収特性(右軸)。研究室では様々な色を持つ光触媒粉末を合成する。
この事業の取り組みの1つである「信大人工光合成」は、太陽光と光触媒で水を直接分解することで得られるグリーン水素を新エネルギーとして実証化を目指す取り組みだ。信州大学が参画する国家プロジェクト(NEDO事業)において、世界最大規模の長期実証試験を実施し、高効率かつ安価にグリーン水素を製造することを目指している。
視察の様子
Top Image : © 信州 大学