News
2025.09.11
知財ニュース
島津製作所、非接触型のリアルタイム水分率モニター「MMSシリーズ」発売―生産ラインで食品中の水分率を高精度に測定

島津製作所は、8月26日にインライン水分率モニター「MMSシリーズ」を発売すると発表した。本製品は、生産ラインで食品中の水分率を高精度に測定し、食品の品質管理や生産効率の向上に貢献する。電磁波を用いて非破壊かつ非接触で水分率をモニタリングできる製品は、食品業界向けでは初めてのことだ。
9月3日より幕張メッセで開催されるアジア最大級の分析機器・科学機器の展示会「JASIS2025」での展示も予定されている。
MMSシリーズは、電磁波の水分によるエネルギーの減衰差を利用して水分率を計測するシステムだ。国立研究開発法人 産業技術総合研究所が開発した水分量を電磁波で簡便に計測する技術をもとに、島津製作所が製品化した。食品が流れるコンベアや運搬トレイの上部にセンサーを設置し、食品が通過する際に水分率をリアルタイムで測定する。
水分量の低い対象には、上下にセンサーを対向する形で配置し電磁波を透過させることで、高精度な測定を実現する。近赤外線を用いた手法では表面の測定に留まっていた厚みのある生地も計測が可能で、食品に直接接触しないため衛生面でも安心だ。
センサー部は小型・軽量なので、新たな設置スペースの確保は不要で、既存の生産ラインにも容易に取り付けが可能。また防水機能を備えているため、清掃など機器のメンテナンスも容易だ。
食品に含まれる水分は、食感や味わいなど品質に影響する。本製品は菓子やパックご飯、麺類などの生産工程で、瞬時に水分量を確認できる。生産段階の食品の水分率を瞬時に把握できるため、製品ごとの水分率のばらつきを抑えて品質の均一性を保ち、消費者に対して安心で安全な食品を提供する役割を果たす。
また、リアルタイムに高精度・短時間で測定し、検査判定待ち時間に発生する不良品の進行を防ぎフードロスを削減することができる。
同社は、中期経営計画でインダストリー領域を社会価値創生領域としているほか、プラネタリーヘルス(人と地球の健康)の追求を掲げている。今後も消費者と環境の両方を考慮した製品開発を続け、食がもたらす喜びや持続可能な社会の実現に向けて尽力していくとしている。
Top Image : © 株式会社 島津製作所