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2022.07.14

知財ニュース

NEC、AIの映像解析で細かな作業を識別─部品・道具の登録せず識別は国内初

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日本電気株式会社(NEC)は、AIを活用した映像解析により、工場での人出による作業において、AIの映像解析によって一般的なカメラで撮影した数回分のお手本映像だけで学習モデルを作成し、手指の動きを捉えて数十種類の細かい作業を高精度に識別する技術を開発した。

作業で用いられる部品や道具を事前登録することなく、作業を識別できる技術の開発は国内初※であり、生産性の向上に貢献する技術として注目される。(※NEC調べ)

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近年のものづくり現場では、機械設備の導入により自動化が進められている一方で、人手による作業も多く残されており、生産性の向上に課題を抱えている。また、従来の映像解析による作業分析の場合、肩や肘、手首などの人体の大きな動きを捉えることで作業内容を分析するため、手先の細かな動きを伴う作業には対応できておらず、分析のために各工程で用いられる部品や道具を事前に登録した大量の教師データ(例題に対応し正解と整理するデータ)を必要としていた。

今回開発された技術では、各指の関節と指先(両手合計42箇所)の動きを基にして捉えた手指形状の特徴量と指周辺の画像特徴量との共起関係(ある手指の形と、特定の部品や道具が同時に現れる状況)を学習。これにより、個別の部品や道具を登録して学習する必要がなく、数回分のお手本映像だけで学習モデルを作成し、「モジュラージャックを取る」「マイクをはめ込む」や「電動ドライバーでネジを締める」など、数十種類の細かい作業を高精度に識別することが可能となる。

また、個々の作業にかかる時間の測定が可能で、作業の手順違い・手順漏れの発見や、規定の作業時間と実作業にかかる時間の差の分析をすることができるという。

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同社では、ICT機器の製造を行っているNECプラットフォームズ株式会社の白石事業所で技術検証を実施。撮影した製品組み立ての実験映像に適用した結果、各作業時間を高精度に実測し、予め規定した時間との差異を把握することができたという。

今後は、本技術について製造や建設、物流、小売などの現場作業で検証を進め、2022年度中の事業化を目指すとしている。

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Top Image : ©日本電気 株式会社

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