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2025.03.03
知財ニュース
カナダのゲルフ大学、圧縮すると電気を生み出すスライムを開発

カナダのゲルフ大学の研究チームは、圧縮すると電気を生み出すスライムのような素材を開発したと発表した。また、チームがサスカチュワン大学のCanadian Light Source(CLS)を使用して試作品を研究したところ、この素材にはさまざまな用途があることがわかったのだという。
スライム素材は、90%の水とオレイン酸、アミノ酸で構成されている。オレイン酸は植物油などに含まれている脂肪酸で、アミノ酸は人体のタンパク質を構成する要素だ。つまりこの素材は、すべて天然素材で作られており、研究チームのErica Pensini氏は「100%無害で、肌に安心して塗れるものを作りたかった」と述べている。
このスライムは電界をかけると、このスライムの結晶構造を変えることができるのだという。研究チームはスーパー顕微鏡のようなものであるシンクロトロンを使用して調べると、このスライムは電界をかけるとスポンジのように整列したり、層をなしたり、六角形をとったりなどさまざまな構造を形成できることを発見した。
人体は開いた傷口に治癒細胞を引き寄せるために小さな電界を作り出すのだという。この電界を強める包帯を作ることで、理論的には治癒が早まる可能性があるとしている。この場合、包帯は自然な動きや呼吸によって活性化されるとのこと。
他にも床に設置すれば、人が歩くときに電力を生み出すことができたり、靴の中敷きに組み込めば、歩行の分析に使用できるのだという。また理論的には、この素材は、患者の脈拍をチェックする際にどの程度の圧力をかければよいかをロボットに学習させるための人工皮膚のベースとして使うこともできるとしている。
Top Image : © Canadian Light Source