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2022.02.09

知財ニュース

株式会社オルツ、茂木健一郎氏のデジタルクローンの生成に成功―クローン生成の希望者も募集

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デジタルクローンとP.A.I.(パーソナル人工知能)を開発する株式会社オルツが、株式会社ビデオリサーチと共同で、脳科学者・茂木健一郎氏のデジタルクローンの生成に成功した。

この取り組みは、デジタルクローン技術応用の一形態である、専門知識を持つ人物の知見や価値観にいつでもアクセスできる世界の実現を目指したものだ。実証実験では、デジタルクローンに対する様々な問いに対して茂木健一郎氏の専門知識に基づく返答を得られるだけでなく、同氏の価値観を土台とした広範囲な返答が得られることが確認されたという。

茂木健一郎氏は、デジタルクローンとの対話について、「その場その場でリアルタイムに思考するデジタルクローンは、自分らしい考え方、表情や声などによって、確かに自分だと感じさせられつつも、予想を裏切るようなコミュニケーションが発生する。」「デジタルクローンと聞くと、あたかも自分自身のコピーのようなメタファーを思い浮かべがちだが、実際に起こっていることはもっと複雑で豊かなものなのだ。」と述べている。

今回のデジタルクローン生成では、オルツの保有する2つのデジタルクローン生成手法のうち、第1種である、クローン元となる人物の価値観を多く含むデータを学習素材として用いる手法を取っている。学習素材には茂木健一郎氏の著作やSNSへの投稿などが使用された。

第1種の手法を用いたオルツのデジタルクローンは、「オルツ・クローンモデリング・エンジン」によって、数多くの人々の思考を統合した「平均モデル」と呼ばれる巨大モデルを、目標となる個人の比較的少量のデータで歪ませることで生成される。ここで生成されたモデルは「個性モデル」と呼ばれ、人間としての基礎的な思考は保ちつつ、個人の持つ特異な歪みを反映している。この個性モデルがデジタルクローンの中核をなしていると言える。

undefined Image : © 株式会社オルツ

またオルツは、ビデオリサーチが掲げる次世代型のマーケティングリサーチ手法「リサーチ4.0」を実現するため、オルツの開発したAIクローンアンケートシステム「Nulltitude (ナルティテュード)」の実証実験を共同で進めてきた。

Nulltitudeは、「オルツ・クローンモデリング・エンジン」によって実際の人間のライフログを学習素材として思考をクローンし、生成された複数のAIクローンに対してアンケートを実施して集計を取る仕組みだ。この取り組みでは、オルツの保有する2つのデジタルクローン生成手法のうち、第2種が選択されている。

第1種がデータ自体に価値観を含むデータを使用するのに対し、第2種ではデータ自体には価値観を含まない個人の定量データを用いてデジタルクローンを生成している。これまで、多くの企業は調査やマーケティングにおいて顧客へのアンケート調査を通じてデータを収集してきたが、そのデータを活用したデジタルクローンの生成を第2種の手法によって達成することができるという。

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オルツは、茂木健一郎氏のデジタルクローンを生成した第1種の生成手法による結果と、Nulltitudeの結果を総合的に検証することで、デジタルクローンの精度や活用方針などの見解を得ることができるとしている。また、茂木健一郎氏の知見や価値観をインタラクティブに得られると確認できたことは、今後様々な知識人、文化人などの考えに即座にアクセスできる可能性が開けたことを意味すると表明した。

現在、オルツではデジタルクローン生成の希望者を募集している。

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Top Image : © 株式会社 ビデオリサーチ

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